1月3日のRICE BOWLは、国内アメリカンフットボール(Xリーグ)のシーズン最後の試合。ここの所、ほぼ毎年富士通フロンティアーズ vs パナソニックインパルスの対戦となり、今回もマッチアップに新鮮味は無いものの、試合内容は例によって白熱した高密度な物。東の雄富士通は、2022年から三連覇中で、ここ10年間は国内のトップチームとして「富士通帝国」とも言える強さを堅持しているチーム。西の雄パナソニックは、富士通同様RICE BOWLに2022年から出場しているものの、毎年富士通に苦杯をなめさせているけれど、その差は僅差であと一歩手が届かないもどかしいシーズンが続いていました。
パナソニックの課題としては、序盤や前半はリードすることもあるけれど、終盤特に4Qに入ると富士通に抑えられて逆転されて敗れるパターンが多いこと。スタミナとか戦術というよりは、富士通の対応力の凄さなんだと思うけれど、今年はちょっと様子が違っていました。パナソニックは、どちらかと言うとラン中心チームだけれど、今年は前半はパスに比重を置き、前半は相手の意表を突き13-10でリードして折り返します。 ハーフタイムを挟んだ後半はラン中心の攻撃に戻して来ますが、3Qは無得点のまま。この辺りは富士通の対応力が勝っていて、さらにリズムを取り戻したオフェンスが逆転をして、正直「あぁ、例年のパターン」と感じました。
ところが、ここでパナソニックはターンオーバーを奪ってTDに繋げるなど、例年になく反撃ムードになると、再びパスオフェンスが機能しだして逆転します。富士通は3Qで逆転こそしたものの、その後のオフェンスが機能せずに得点に繋がらず、また焦りなのかミスも目立つように。特に4Q終盤に富士通が同点を狙うオフェンスで、QBのパスを最前列のDLウィリアムが片手で弾いてインターセプトして、そのままリターンTDを奪われたところで正直勝負あった感じでした。これでパナソニックが2TDのリードを奪い、富士通も1TDを返すけれどちょっと時間が足りませんでしたね。パナソニックとしては、9年振りのRICE BOWL勝利だけれど、それはイコール8年間富士通に勝てなかったということで、その苦節が遂に終わったわけで喜び具合は半端ないでしょうね。
この結果を受けて、パナソニックはパナソニックで、富士通は富士通で、例年以上にリクルーティングに力を入れるだろうから、正直2025シーズンはこの2強とそれ以外のチームとの実力差は広がる気がする。オービックシーガルズも、2021年を最後にここの所RICE BOWLの準決勝やその前の時代はJapan X Bowlで敗れているシーズンが続いているので、このオフシーズンはかなりリクルーティングに力を入れそう。となると、それに続く第2グループのチームは更に厳しい状況になりそう。現状はこの3強(富士通、パナソニック、オービック)に対して、残り一つの椅子を9チームが競い合うような感じなんですが、それはそれで伯仲した試合があったりして面白い。でも、3強の中でも特に富士通とパナソニックが強すぎて、シーズン後半になるともうこの2チームしか試合をしないシーズンが続いているのも、リーグとしては問題というか課題だと思う。今年から、リクルーティングや選手構成のルールが変わって、上下チームの戦力均衡化を進めているけれど、3強以外の中から頭一つ抜け出して3強と互して戦えるチームが生まれてくるだろうか。そんなシーズンを見てみたい。