ReHacQ生配信シリーズの「視聴者の質問に答えるニュース番組」。出演は、東京大学の斎藤幸平氏と、慶應義塾大学の中室牧子氏に、MCの高橋弘樹氏。斎藤氏と中室氏は今回が初対面だったらしいのは、ちょっと意外。個人的には、斎藤氏にしても中室氏にしても、その主義主張に100%同意するものでは無いけれど、それぞれの発言に関しては100%真摯に受け止めて自分なりに咀嚼する価値のある人だなと思っていて、その期待は今回も裏切られませんでした。斎藤氏と中室氏は、ある意味正反対のポジション、考え方の人だと思うんですが、その凸凹具合が真ん中に高橋Pというクッションというかバッファーを挟んで、見事にジグソーパズルのピースがピタリと嵌まったように感じ乗れるコンテンツでした。だからか、4時間は長いなと最初は思ったんですが、結局土曜日の午前潰して最後まで一気に試聴してしまいました。
序盤の話題で、N.Y.市長のマムダニ氏が低価格のスーパーマーケットを市内5箇所に開設する話が出て、斎藤氏は有意義な社会実験みたいな評価を口にしていました。でもそれって、社会主義時代のソ連のスーパーマーケットじゃないかという気がするんだけれど。それ以外にも中室氏が関わっている教育関係の話とかも興味深かったし、4時間の中に最低でも10個位は、1つのコンテンツとして成立しそうな話題満載だった気がします。ただ途中話題になった、秋田県秋田市に誘致されたデータセンターの話題は、ちょっと誤解されているような気もするなぁ。動画中では「UAEのデータセンター(DC)を秋田に設置して、UAEが日本国内にデータセンターを持つ」みたいな言い方をしていました。でも新聞記事を読むと、UAEのファンドが資金提供して、日本のサーバー管理会社とアメリカのAIスタートアップが中心になると書かれています。ですから実際にDCを利用するのは日本企業かもしれないし、AWSかもしれないわけで、その利用料金の一部がUAEのファンドに入るというスキームなのでは。また対話の中では、建設費と固定資産税は日本に落ちるけれど、電気料金や水道料金が値上がり地元負担が増え、雇用もデータセンターだから増えないと言う話も。消費量がどれだけ増えるかは分からないけれど、利用料金があがればDC側も降りになるわけで、そこはバランスが保たれるのでは。雇用に関しても、サーバー管理や保守要員でそれなりに必要になると思うけどなぁ。勿論、工場誘致と比較して何百人、何千人という雇用創生にはならないだろうけど、それでもゼロと言うことは無いと思うけどなぁ。DCが生まれるということは、そのDCが接続する大容量ネットワークも必要なわけで、それって近隣の企業にとっても有利になるのでは。
終盤のスパチャへの回答から、「日本は効率の学校の品質が高い」という話から、日本の優れた社会基盤サービスを維持していくことが重要だが、その為には不要な部分は削る必要も有るという話は凄く良く分かる気がします。自分の細やかな海外経験ベースではあるけれど、アメリカとかシンガポールとか、海外でも比較的社会的に成熟していて設備等も整っている国への渡航経験と比較しても、やはり日本は住みやすいし良い社会だと思います。人口減少に少子高齢化、30年間のデフレによる経済停滞など、マイナスの影響はまだ大きく残っているけれど、それでもGDPで世界のトップ5に残るくらいの余力はあるわけで、それならば悲観論よりは楽観論で未来に期待したいですよね。新自由主義(?)の中室氏も、左派リベラル(?)の斎藤氏も、この点では意見の一致をしているところは面白い発見。
全体を視聴して感じたのは、「日本はもっと機会遭遇回数(再挑戦機会)を増やすべきだ」という事。教育にしても仕事にしても、日本は昔からのやり方を踏襲して、踏み外さずに真っ直ぐ進むのが良しという考え方が長く続いていました。それが最近では段々と欧米型のスタイルへと変わりつつあるけれど、例えば学び直す機会だとか仕事を変更する機会とか、そういう事がもう少し楽にというか、リスクを抑えつつ何度でも挑戦できるような仕組みというか社会雰囲気がこれからはもっと必要ですよね。本人にやる気と前回の振り返りがちゃんとあるならば、失敗しても次の挑戦への権利をもう一度手にすることが出来るような社会が、やはり活力有る社会だと思うなぁ。勿論、これまで通りにほどほどで十分という人はそういうキャリアパスを選べば良いわけだし、そんな状況の中でも「これは!」という場面に遭遇したら、そこで挑戦できるような仕組みは欲しいですよね。何度か見返してみたいけれど、やはり4時間は大変(笑)。倍速再生しても2時間だしなぁ。ReHacQは編集無しのコンテンツが魅力なんですが、それと並行して有る程度整理したり最適化したような「簡易版・短縮版」みたいなものも欲しいなぁ。AIとか利用して機械化できないものだろうか。それが唯一の不満かもしれない。