8月15日の「終戦記念日」に合わせての特集だと思うReHacQの「日本の国防」に関しての鼎談。MCは元TBS記者の須賀川拓氏に、ゲストは東京大学の小泉悠准教授と近現代史研究者の辻田真佐憲氏という、かなりレアな取り合わせ。辻田氏は、昨年も終戦記念日のReHacQ特集に出演されていて、私はこの時に初めて拝見した方。 小泉氏は、近代のロシア軍事の専門家なので、日本の近代・現代の歴史認識とも共通する部分は多いでしょうね。お二人とも、是か非かみたいな二項対立の話ではなく、俯瞰した形で全体を見ながら「ここはこうでは無いか」という客観的な事実を積み上げて意見を構築するタイプなので、非常にバランスの取れた内容で視聴していてもなんて言うか安心してみて入れられる内容でした。
前後半50分弱ずつ、合わせて1時間半位の内容ですが、中身の濃いコンテンツだなと感じます。冒頭ゲストお二人の自己紹介の中で、小泉氏が発言した「日本は81年前の太平洋戦争の話しか考えなくて、今現実に起こっているウクライナの戦争とか様々な戦争に関しては流している」みたいな発言は、まさに自分が感じていたことをそのものズバリと指摘してくれている印象。それに続いての辻田氏も、81年前の「日本は悪かった」という点で国民が納得(共有?)して終わっているので、その後の色々な扮装や課題の話がどんどん平坦になり薄まっていく見たいな指摘もごもっともと感じますよね。
その関連で、前半で辻田氏が言う戦後の緊張感が1990年代に入って薄れていき、各国が自分達の「物語=国家間・歴史観」を作り出したという説明は凄く腑に落ちる気がします。そんな中で前半の中盤くらいから、戦後81年になり世界の状況も日本の国内状況も大きく変化している中、憲法改正特に9条関わる部分に関してのお二人の意見は非常に現実的な対話がされたと感じます。「したたかな平和国家」というのは、前半の重要なキーワードだなぁ。それに対して後半はさらに議論が進んで「65点の歴史観」というキーワードが、非常に言い得て妙というかストンと腑に落ちるというか、流石だなと感心しました。戦争は是か非かとか、右派vs左派みたいな、両極端の意見対立が起きているのが今の日本で、やはりそこは情報が溢れてしまいコントロールできない故に、自分にとって都合が良い=理解出来る事に偏るからじゃ無いかな。
戦争とか憲法改正とか非常に重い内容の話に対してこんなことを言ってしまうと怒られるかもしれないけれど、話の内容やその話の筋立てというか意見の進め方も含めて、非常に清涼感を感じた気持ちの良い印象が最後に残った気がします。現実を見ると、昔のようにアメリカが「世界の警察官」としての役割から交代している反面、特に日本の周辺地域が段々ときな臭くなってきているのは事実。そんな中で、単に「平和」と唱えるだけで日本だけで無く周辺国家の平和が保たれるわけでも無く、これまでよりは1つ違うと言うかよりハイレベルな「日本的平和国家間」みたいなものへの脱皮が必要じゃ無いだろうか。そう言う意味で、こう言う冷静かつ理路整然と互いに相手の話を聞きながら自分の考えを伝える議論が、色々な組合せで生まれて進むことが、本当の意味での「平和国家」への道だと感じますね。