2024年4月27日

捲土重来の30年

佐々木俊尚氏が紹介している、ブルームバーグによる日本観の記事。最近の日本に関しては、経済では中国やドイツにGDPで抜かれ、国民の生活は物価高で苦しく、そこに円安が追い打ちを掛けて、とうとうG7ではとかG20では底辺に落ちるまで凋落した、見たいな悲観論が主流だけれど決してそうでは無いという話。

確かに、1990年代のバブル崩壊から始まった「沈黙の30年」は、最近でこそやっと出口が見え始めたけれど、まだ抜け出したとは言えない状態。史上最高値、4万円台の株高とか、毎年アップする大手企業の給与とか、明るい話もあるのだけれど、周りを見渡してみると、あれの値上げこれの値上げ、さらにはあの増税にこちらの増税、でも給料のアップはなかなか進まない。悲観する象徴みたいなものが、最近急増している「インバウンド」なわけで、日本人には手が出ないような高価な品物や飲食を、外国からの訪日観光客は「安い安い」といって購入している姿に、日本人はちょっと惨めな印象を受けているような印象も受けます。でも考えてみたら、彼らが「安い」というのは円安による為替レートも理由だけれど、元々彼らの国の中では希少性だったり新規性だったりして価格が高いものを多いわけで、そう言う意味では日本由来の例えば和食が海外よりも安いのは当然だし、そうで無くてもデフレで価格維持が最大目的の20年が過ぎたわけだから、諸外国と比べて物価が安いのも当然だと思う。それならそれで、それを武器にすれば良いんじゃ無いの。

1980年代などは、円高の影響もあり日本企業が盛んに海外進出をしていて、アメリカの有名物件や企業買収を日本企業が行って話題になったり、それこそ日本人の爆買いツアーが話題というか場合によっては問題にすらなった時代。この頃は物理的な事で日本が世界を席巻したと言って良い時代だと思います。その後長い停滞期に入ったことは事実だけれど、それならそれで日本人の好きな「内向きの世界」がどんどん充実していき、それがアニメコンテンツとかソフトコンテンツとして世界で話題になり始めたのが、2000年に入ってからだと思う。最初に日がついたのはフランスで、そこから欧州に広がり、さらに世界に広がっているのが現状なのでは。これは、ソフトコンテンツという商材のビジネスでは有るけれど、子供の頃に見たアニメが大人になっても影響するように、形の無いビジネスでもあると思うんですよね。世界的なスポーツであるサッカーならば、「キャプテン翼」はバイブルみたいな存在だけれど、そういう意義は大きいと思う。とんねるずの石橋貴明氏が、ハリウッドの「メジャーリーグ2」に出演して、その独特なキャラクターで人気になったけれど、今でもMLB選手ではあのキャラクターを覚えていて、石橋氏を見ると寄ってくると言う話ですからね。

そして今日本で中心なのは「インバウンド」。京都など場所に寄っては余りの観光客の多さに問題も売れているけれど、それはその場所場所で解決策を見つけていくべきものだと思う。一番重要なのは、これまでのビジネスは日本から某かの「もの」を出していく形だったのが、インバウンドは向こうからこちらに来てくれるビジネスなわけですからね。だから日本側から見たら一番効率が良いビジネスモデルと言って良いのでは。コロナ禍が理由かどうか分からないけれど、コロナ禍以前はインバウンドでも、富士山とかニセコの雪とか爆買いとか「もの」が中心だったのが、最近では日本人も知らないような地方の絶景とか食べ物が海外で話題になったり、日本の習慣とか武道などを体験する「こと」の旅行中心になってきたことは、ますますインバウンドの可能性を広げるものだと思う。外国人訪日観光客には、例えば渋谷のスクランブル交差点が話題ですが、あの規模のスクランブル交差点とか同様に珍しい交差点って、探せば国内にもっとあると思うし。ある意味、「聖地巡礼」みたいな感じで、話題になった場所に観光客が集まるのは悪い事では無いと思うけれど、問題は観光地でも無いしそう言うことを望んでもいないような極々普通な場所が、ある日突然「有名フォトポイント」みたいな感じで世界に認知されてしまい、そこの日常が壊されてしまうこと。観光地整備として、国としてもそう言う「次の対策」を考える時期だと思うなぁ。悲観したりするのは個人の勝手だと思うけれど、苦しい時こそ前向きな考えをするべきだと思うし、少しでも切掛があるならば、最大限に利用してより前向きにならないと、結局はいつまでたっても何も変わらず自分だけが損をしている時間が続くだけ。今こそ気持ちを切り替えて前に進むタイミングじゃないだろうか。 

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