三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件は、その手口が分かった見たら凄く単純な仕組みで、正直拍子抜けするような話。銀行の中の隔離された領域にある金庫と聞けば「凄く安全安心な場所」とイメージが沸きますが、そこにアクセス出来る第三者が存在する以上は、リスクはゼロでは無い。最近はそんなに聞かなくなりましたが、やはりセキュリティが厳しい空港であっても、以前は内部に入るテナント従業員や空港スタッフが犯行に荷担した例もあったわけで、そういう過信は駄目と言う事を改めて証明した事件だったと思いますね。
さらに「貸金庫」の開閉方法が、利用者と銀行側二人による二重開錠が必要だったけれど、利用者側の鍵の複製を実は銀行側から万一の場合用に保管していたから、「二重開錠」のシステムに事実上なっていなかった事も抜け穴だなぁと言う気がします。その複製キーは、割印を押した封筒に保管して居たらしいけれど、今回はそれを上手く開いて利用していたわけだから、単なる割印では無く、封筒の口全部を封印する必要が有るかも。あるいは、ケースのようなものに入れて封印をして、開いたら必ず分かるようにするにしても、それでも抜け道は見つけてくるだろうな。しかも今回の容疑者は、その保管鍵の管理責任者ということで、これも大きな抜け穴ですよね。運用責任者と、保管責任者は別々にして二重に管理強化するとか、やはりシステムとして「性善説」的な甘さがあるように感じます。
今の技術だったら、貸金庫にセンサーみたいなものを内蔵させて、開閉したらその状況が契約車のスマホに送信されるような仕組みとか簡単に入れられるのでは。さらには、今回の容疑者は犯行を隠すために、突然の来訪者に対応するときには貸金庫の電源を切って故障を装ったりしたらしいけれど、そういう場合には貸金庫の外側の安全システムにアラートとか上がらないのだろうか。二重鍵による安全管理をメインならば、そういう電気系統に依存して居る部分もあるというのが不思議だしアンバランスな気がする。私は貸金庫とか利用したことがないので勝手な想像何だけれど、貸金庫の仕組み自体は昔からのままで、その外側に監視カメラとか入退出管理とかの電気的監視システムを付ける事で、より安全度が増したと過信して運用が甘くなって言ったんじゃ無いだろうか。
更に今回の容疑者の女性元行員は、過去にもギャンブルで大きな損失を出して、そういう経緯がありながらも銀行内で重要なポジションに配属されて、それ故に貸金庫の悪用も可能になったというのは、銀行側の管理責任も大きい気がしますね。 さらに、今回は「貸金庫」という、その場所を提供している銀行側もその内容を把握出来ない・していない部分があることが明らかになり、それ故に不正利用や不正蓄財の温床になっていることも明らかになってきたわけで、今回の三菱UFJ銀行以外での運用に関しても、少なくとも利用者の利用状況の透明性担保が要求されるのでは無いだろうか。少なくとも今回の事例でも、本来は保管出来ないはずの現金も含まれていたことが分かったわけで、それは利用者側にも問題があったことの証拠とも言える訳ですから。この問題、古いシステムが新しくより信頼性の高いシステムになるのなら良いけれど、それ以外の場所での問題が掘り起こされるような気もします。
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