今回のフライトでは、往路(NRT-SFO/NH008)ではANA B777-300ERのTHE Suiteに、復路(SFO-NRT/NH007)では同じくANA B777-300ERのThe Roomを利用する機会に恵まれました。と言う事で、たった一度の利用で偉そうなことは言えませんが、これまでのシートと比較しての個人的感想等。
THE Suite:
先頭のL1ドアから機内に入り、直ぐ右手の1Aの座席を利用しましたが、第一印象は「これまでのFirst Class Seatとサイズ感は変わらないなぁ」というもの。ANA便で言えば、これまでのFIRST SQUAREやA380のFirst Classも利用した事がありますが、色合いの関係からか、最初に見たときには「A380のシート見たい」という第一印象でした。で、座って一番感じるのが「目の前のモニターが大きい(かつ、精彩)」という事。この大画面を見て初めて「あぁ、凄い」と思ったし、「新シートだ」と認識できました。
細かい部分では、シートポケットの配置とかリモコンの位置とか、電源ポートの配置とか違いはあるんですが、個人的にはメガネとかスマホとか財布とか、ちょっとしたものをまとめて入れておけるポケットみたいな収納スペースが欲しいですよね。それも、座ってシートベルトをしている状態で手が届く範囲に。新シートでは、モニターの手前に少し深めの物入れが設置されているんですが、最初に入れて最後に出すための場所みたいな感じで、頻繁にアクセスするような位置では無いし。
今回は、First Class 8席のスペースを一人で利用したので、通常は1Aのシートを使用して、寝るときには隣りの1Dのシートをフラットにしてベッドメイキングしてくれました。多分、フラットな状態になったシートの感触(座面としての柔らかさ)に自信があるからなのだろうけど、これまであったシートに敷くクッションみたいなものが無くて、薄い布みたいなベッドパット一枚だけでした。でも、やはり足下のモニターしたの部分と、座席が伸びて接続する部分だったり、座面と背もたれの間の部分とか微妙に凸凹が生まれて、それがダイレクトに腰や足(ふくらはぎの辺り)に当たるので、正直フルフラットでも寝心地は良いとは感じられませんでした。私は平均的な日本人の身長くらいなので、そんなに規格外れでは無いと思うけれど、First Classのフルフラットのシートで眠って、腰が痛くて目が覚めたのは初めてでした。個人的には、これまで使用していた少しクッション性のあるクッションを復活して欲しいです。
モニターは、一度この43インチ/4Kモニターを見てしまうと、BusinessのTHE Roomもこれにして欲しい位、綺麗で見ていて飽きませんでした。特にガンカメラで外の映像を見ていると、飛行機好きとしては堪らないでしょうね。映像コンテンツも綺麗で、見ていて飽きないし良かったと思います。只、映像コンテンツのメニューが自分的には余り興味の無いものばかりだったので、殆どエアショーしか見ていませんでしたが(笑)。そうそう、First ClassではSONYのノイズキャンセルヘッドホンが使用出来ますが、この使い方が最初良く分かりませんでした。外音取り込みをしているつもりでもそうで無かったり、右のイヤーパッドを手で隠すと会話モードに成るはずがなっていなかったり。音は良いけれど、使いにくいのが難点。JALの最新シートでは、座席のヘッドレストの左右に指向性スピーカーを内蔵させて、直接音を聞けるようにしているそうですが、そういう設備がANAでも欲しいですね。私自身、個人的に利用するのはイヤホンタイプなので、この頭にかけるタイプのヘッドホンは慣れないですし。総合的には、モニターの品質は凄く良くてこれは満足したけれど、それ以外の機能や設備に関しては、私が全て利用していないこともあるけれど、これまでのものとそんなに違いを感じられませんでした。
THE Room:
THE Suiteは違いを感じられなかったけれど、RHE RoomはこれまでのSTAGGERED SEATと全く違って倍位の広さがあるので、座った瞬間からこれまであった「閉塞感(個人的命名では「棺桶感」)」を全く感じられません。なんせ背もたれの部分だけ見れば、First Classと同じ幅ですからね。でも、これまでなら前の座席の出っ張りでデッドスペース担っていた部分の使い方には困りますが。
今回は後ろ向きの席を利用しましたが、窓際の席は窓に近いシートは後ろ向き、窓との間にサイドテーブルがあるのが前向きという感じで、予約もまずは前向きのこれまで同様のシートから埋まっていました。個人的には、昔UAのシートで後ろ向きを何度か経験しているので、実際違和感は感じられなかったし、離発着の時も同じです。あと、こちらのモニターも、これまでのFirst Class位のサイズのモニターが使用されているので、そこで外の映像を映していれば、まるでそこに窓が有るみたいに見えて、しかも前向きに進む映像ですから、実際には後ろ向きに座っていても気持ち的には「前向きに座っている」風が脳が勝手に誤解してくれるような気がします。
シートは、通常は真っ直ぐに前後に向いて座って映画とか見るんですが、フルフラットにして寝るときには斜めに体を横たえる感じになります。それによって長さを稼いでいるわけですね。だから、足下は結構狭いですし、モニターの下に膝の下くらいまで入るので、寝返りを打つときに足を少しでも上げるとモニターしたの部分にぶつけていたい思いをします。フルフラット時の座面の感じですが、やはり背もたれと座席部分の境界とか、フットレストの端とモニター奧の固定部分の境界部分とか、どうしても段差が出来てしまいます。でもこちらには、座席に敷いて使うマットレスが提供されているので、実はTHE Suiteよりも凸凹は感じられませんでした。多分睡眠の質もこちらの方が良かった気がします。
ちょっと不満なのは、普通に座っているときには前後に正対していて、寝るときだけシートを斜めに利用するのですが、何故かシートベルトは三点式で、このショルダーベルトが着けづらいのと、腰の部分のシートベルトも、引っかける鍵穴側のベルトが凄く短くて、反対側のラッチ部分がある金具をかなり引っ張って座面上でロックしないといけないので、これが不便。以前のようにお腹のまん中当たりでロックできるような長さにして欲しいですね。
座席を動かすとき、前の席の足下部分が飛び出ていますが、その下の部分は空いています。ぱっと見、小さな荷物とか靴を底に置けそうな感じくらいのスペースですが、床の部分にはそう言うものを置かないようにと言うアイコンが示されています。実際この部分は、シートをフルフラットにすると前の横一杯の部分が入ってくるので、何かものが置かれていると潰されます。機内使用用のスリッパの置き場所に困り、ここに於いていたらズルズルと椅子の移動に引っ張られていくので、一度通路側にスリッパを出して、シートを倒し終わってから取り込むと、シートの下に薄いスペースがあるようで、底にスリッパを入れて置くことは出来そうです。でも、ちょっと不便な仕様だと思いますね。
入口部分のカバー(壁)ですが、頭側の壁は下から上に飛び出し、足下側の壁は横方向に飛び出してくるので、これもちょっとちぐはぐな感じ。しかも、出す操作をするボタンが内部から光っているので、モーターで開け閉めされると思ったら、そのボタンを押すとバネ仕掛けで飛び出してくるだけでした。締めるときには、結構力を入れて押し戻さないといけないの手は、ちょっと使い勝手が悪い気がしました。
最初に食事をするときに、モニターしたから折り畳まれたテーブルを出したんですが、これが妙に高い位置で使いにくい状態に。「シートを上下に移動させるボタンはないのか」とシート操作部分を見ていたら、ナイフとフォークが付いた操作ボタンがあり、これを押すと座席が少し後退してから上に上がりさらに背もたれも少し前側に倒れるようになって、テーブルの高さとあうような設定でした。通常シート操作の固定歩ジョンボタンは「離陸(全て戻す)」と「就寝(フルフラット)」の二つしか無い場合が殆どですが、そこに「食事時」という固定機能が追加されたわけです。まぁ、いずれにしても、THE Roomの一番の魅力は、これまでのビジネスクラスのシートが、フルフラットにしたときは勿論、普通に座っているときにも凄く左右からの圧迫感を感じましたが、それが無くなったのが一番の魅力だと思います。
共通の課題点:
THE Suite / THE Roomどちらにも共通した話題(課題)も幾つか感じたので、それもまとめておきます。
- 両シートは導入されてまだ1年位だと思うんですが、今回利用したシート、特にTHE Roomのシートは使用感が凄くあって、もう数年位使われているような印象です。壁やモニター台の傷や汚れもそうですが(寝ているときに靴があたるのかな?)、一番気になったのは座面がこすれでほつれや毛玉みたいなものが幾つもあったことで、これはこれまでのシート面の素材の違いだからでしょうか。
- 同じく、まだ導入されて間もないと思いますが、リモコンの操作ボタンが反応しない事が結構有りました。「ぐっ!」と力を入れたり、押す場所をボタンの端の方とか、要するにボタン内部の接触が劣化している印象を受けました。かなり色々な乗客が色々な使い方をするせいでしょうか。リモコン左側の十字キーの動作確認は、月に一度は実行して必要ならば交換して欲しいです。
- 画面はタッチパネルで、直接操作も出来るんですが、リモコンの画面もタッチパネルになっていてこちら側でも操作は可能でした。でも、画面に表示されている操作幾つかは多分リモコンのハードウェアボタンに別途マップされているのか、リモコンの表示画面とは異なります。この手の十字キーの操作になれていないので、個人的にはこのUIは不合格だと思いました。
- First/Business Classには、機内Wi-Fiが離陸から着陸までフライト中ずっと無料で利用出来ます。この機内Wi-Fiが、これまで利用してきた中で一番でした。往路復路共に同じような接続状態を経験したので、機内Wi-Fiの衛星通人の設備なりソフトが改善されたのかなと想像しています。
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