ReHacQに、今回の米国によるベネズエラ急襲事件の解説記事が登録されていたので早速視聴。MCは戦場ジャーナリスト(?)として有名な、須賀川拓氏。コメンテーターは、アメリカ側の専門家として、メディアで良く拝見する上智大学の前嶋和弘教授と、今回初めて拝見したJETROアジア経済研究所の坂口安紀氏。坂口氏は、JETROの派遣で、今回拘束されたマドゥロ大統領の前任の、ある意味現在のベネズエラを作ったチャベス前大統領の就任前と、就任中、それぞれ2年ずつ合計4年間の現地での活動経験がある、前嶋氏曰く「日本で一番のベネズエラ専門家」で、確かに話の内容は非常に貴重な物に感じました。
コメンテーターのお二人はリモート接続での参加で、そのために途中ちょっと聞きづらい部分ややり取りのタイムラグが気になったけれど、このタイミングでこんなに素早く専門家の話が聞けることを考えるとやはりリモート参加は素晴らしい技術革新の一つだと思います。また、リアルタイムで視聴していると多分気になったそれらリモート接続の問題も、こうやって録画して再度視聴することで、聞き直しも出来るしそんなに大きなデメリットにはならないと感じました。それよりも、まだ正月の5日目でこれだけの人材のスケジュールを押さえて、これだけ中身の濃い配信ができるReHacQは、今のメディア状況を考えると貴重だし重要だと再認識しますね。
内容に関しては個人的に非常に興味深い物ばかりで、特に坂口氏の分析によるベネズエラ情勢と今後に関しては、ここ数日ネット等で目にした話とは異なる部分も多くて、なるほど専門家はそう考えるのかと目から鱗でした。自分的にまとめて見ると、
- 現在のベネズエラの政治体制や独裁経済体制を作ったのは、前任のチャベス前大統領で、マドゥロ大統領はチャベス氏死後にそれを引き継いだだけ
- チャベス氏は絶大なカリスマ性もあったので、何とか国民もついてきたけれど、マドゥロ大統領は言ってみればその遺産を食い潰していただけで、どんどん国内状況は悪化していた
- ただし、チャベス時代に現在のロドリゲス副大統領も含めて要所に「チャベス派」の幹部を配置し、言ってみればそれぞれがチームリーダーとして自分の責任範囲(外交、軍部、内政等)をしっかり維持しているため、お飾り的なマドゥロ大統領時代は勿論、彼が拘束されても実際の統治システムには当分は影響は出ないだろう。坂口氏が「現在は、マドゥロ大統領が出張で不在中みたいな感じ」と言っていたのが印象的でした
- そのため、アメリカ側の今後のベネズエラ統治に関しての発表で当初違和感を感じていたが、いきなり反体制側の人間を政府要職に付けても機能しないことは明らかなので、先ずは個々のチームリーダーを入れ替える、転覆させるなどの作業をするのでは無いかという説明は素人ながらも腑に落ちる話
- 実際、例えば軍部でも上位の幹部クラスは恩恵をうけていたけれど、その下の中堅以下の軍人には不満も多かったので、「チャベス派」幹部を一掃出来れば後の国民は新体制を歓迎するだろう
- アメリカ側は昨年の夏頃からマドゥロ大統領に対して圧力をかけて、譲歩を迫っていたけれど、それに対しては全く反応が無く、最終的に今回の強硬措置に繋がったのだろう
- 坂口氏の憶測・推測ではあるけれど、アメリカ側の被害は微少でベネズエラ側の被害もかなり限定的だった事は、アメリカとしては過去の同様の事象で損害を出して国内批判になった経験から、それだけは避けたい思惑があったのでは。だから、今回の作成の裏側には政権内部のかなり高い位置(もしかしたら、今回暫定大統領に指名されたロドリゲス副大統領)の幹部が、アメリカと取引をして寝返った可能性もあるのでは、という話しは下手なスパイ小説以上に興味深い印象を受けました
- アメリカとしては、兎に角自分達の背後を親米勢力で固めて安定的地位を取り戻したい
- そのためには、民主的な勢力を今後構築する必要があるが、その前提としては壊滅的な経済活動を再構築していかないといけない
- それによって、ベネズエラの石油資源とか希少金属等の輸出が出来るようになると、実は今回の攻撃で経済的損失をしたとネットで言われていた中国も、自由貿易相手国として堂々とビジネスが出来るから、それはウエルカムなのではという話は目から鱗でした。中国としては、アジア圏と異なり領土的野心は南米には無いので、資源確保や経済対策としての興味しか無いだろうと言う話
- ロシアは逆に、地勢的にアメリカに対しての圧力として関係は維持したいけれど、多分ウクライナ対応で軍事的にはそこまでの余裕は無いだろう。また、大人しくすることでアメリカに恩を売ることが出来るから、何もしないことが最大の解決策になるのではと言う話。また、今回のアメリカの行動は自分達のウクライナ侵攻に対してのお墨付きを与えることにも繋がるので、彼らとしては案外肯定的に見ているのかもしれない
- 今回の侵攻作戦は、国際法違反は明らかなのだけれど、だからと言って国民の20%以上が国内脱出するような酷い状況をそのままにしておいて良いのかという、大きなジレンマが、各国の対応を難しくするだろうという話は、今回以外にも良く感じる現実社会の複雑さと多難さが国家規模で再現されているんだなぁと強く感じました
- 日本も、今後アメリカとの関係を維持することは国策として必要だけれど、かと言ってアメリカ支持という立場が明確になってしまうと、今回の作戦を認めたことになり、先の台湾有事関連との整合性も疑われてしまう。付かず離れずが理想だけれど、どの様にまたどれだけ上手く高市総理が国際政治を渡ることが出来るか試される事になるだろう
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