2025年10月30日

80兆円投資

 先日の日米首脳会談の最後の、そしてトランプ大統領にとっては一番の見せ場だっただろうと想像されるのが、28日の夕方から夜に行われた、日本経済界を招待しての大統領主催晩餐会。その最大の目的は、先の日米関税協定で合意された「80兆円の日本からの投資」の内容を固めること。個人的には、その投資を呼びかける場だと思っていたら、詳細はまだにしても具体的に企業が提案を持ってきていて、その場で覚書に署名するなど、あっと言う間に80兆円のうち60兆円位まで積み上がったらしい。実際には「80兆円は投資額、60兆円は事業規模」で違いはあるんだけれど、やはり「数字が欲しい」から「60兆円」という値は相手側も嬉しいはず。その詳細は経済産業省のHPに「ファクトシート(原文/仮訳)」として掲載されていますが、エネルギー関係を筆頭に、AI関係と重要鉱物関係が記載されています。

個人的に感じるのは、原子力関係やその電源関係の内容だけで3,000億ドル以上で、これって日本ではまだまだ再開したとは言えない原発関係の技術継承と新規技術開発のベンチマークというか、かなり貴重な技術経験蓄積が出来るような気がします。明示されているのは、何度も書くけれど「事業規模」で日本からの「投資額」ではないけれど、程度具体的な「金額」が出てくれば、アメリカ側としては有権者へ誇示できるわけで、その目的に対しては十分すぎる内容じゃ無いだろうか。まぁ、署名する様子等も配信されていたけれど、やり手企業が今季優秀な成績を収めた営業を称えるような光景だなぁと思ってしまいました(笑)。

当初「80兆円の投資」という部分が日本に伝わったときには、日本から80兆円もお金がアメリカへ渡るのかと批判も大きかったけれど、よくよく赤沢氏の説明を聞けば、これまでも行われている日本企業のアメリカへの投資行為を政府としても後押しをして、事前に案件レビューを行い実現性の高いものに対してのみ承認されて具体的な事業へと繋がるので、言ってみれば日本企業の米国進出を助けるような仕組みになっているとその時は感じました。アメリカ全体の事業の中で、今回のファクトシートに記載された事業規模がどれだけの割合を占めるかは分からないけれど、今後日本企業がかなり重要な存在になりうる内容のように素人ながら感じるけれど実際はどうだろうか。内容にもよりけりだろうけど、合法的にどんどんアメリカ投資できるとも考えたら、かなり日本にも有利な内容のような気がします。

ふと思ったんですが、共同事業をするとなると、日本から機材とか部材に素材など輸入しないといけなくなるわけで、そうなると決着したとしても15%の関税は実際に仕事をするアメリカ国内の企業にとって大きな障害になるような気がするんですがどうなんだろうか。例えば、これらの共同事業に関しては特例で関税を無しあるいは低くするとすれば、日本側も勿論、共同事業をするアメリカ側企業もそこで何百何千億円もの節約になるだろうから、かなり大きいのでは。直ぐには変わらないだろうけど、来年辺り具体的な事業が始まったら、日米の関税交渉が再開されるかもしれない。他の部分も含めて、日本はトランプ大統領に振り回されること無く、上手く立ち回っているような気がしますね。そうであるなら、関係各位の努力の結果と言って良いのでは。

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