2025年7月22日

ポピュリズム

佐々木俊尚氏が引用している、烏谷昌幸教授の「日本の陰謀論政治」。少し前に佐々木氏がやはり引用していた「ポピュリズム vs リアリズム」にも通じる話だと思います。今回は、最近の選挙では珍しく投票率が6%位上がったのは、やはり初めて投票するような人や、若い世代が持っている政治に対しての不満を上手く得票に繋げた、参政党の多方面作戦の勝利と言えるでしょうね。

最近の色々な発言特に政治関係の発言を見聞きして感じるのは、兎に角自分達の政策の良さを説明する以上に、相手を批判する事に終始しているように感じる事。自分達の提案が良いと思うのは良いけれど、その「良さ」の説明が殆ど無い代わりに、相手の「悪さ」だけを主張して居る。それでも、良さの理由なり悪さの理由なりをちゃんと筋立てて説明するならまだしも、「良い」とか「悪い」とか言うだけで全く説得力が無い。 例えば今回の選挙の争点になった「消費税」に関して、それを無くす、あるいは0%とか5%にすると言う提案を自公以外の政党はしているけれど、その消費税によって賄われている社会保障や年金等の財源をどの様に手当てするのかちゃんと説明していた政党は無し。消費税1%で約2~3兆円の税収があると言われているから、現在の10%(一部8%)だと最低でも20兆円位の財源を考えないと、消費税0%は実現不可能。元々消費税創設の時には、所得税とか他の財源を減らすこととのトレードオフで、「消費活動」という安定的に収益が見込めることで、それら社会保障の財源にしたはず。

それこそ、「年金を○○円削除する代わりに、消費税を5%にします」とか、「所得税を○○%増やして、消費税を0%にします」みたいな話をすれば、そこで判断する事も出来るけれどそこを言わずに「消費税0%」「消費税廃止」と威勢の良いことだけ言って、肝心なところは何も言わないのは、旧民主党が「ガソリン軽減税率廃止」「ガソリン値下げ隊」とか選挙前に言っていたのに、与党となった途端に「軽減税率は継続」と掌返ししたのと同じ話が今回もプンプン。選挙直前には、税収の上振れ分を特別支給金として国民に配布するとして批判されたけれど、例えば今後5年間は税収の上振れ分は国債の還付に充てずに、国民に還元するみたいな政策なら、ちゃんと実現可能だろうし国民も納得出来るのでは。

今回参政党が共産党を越える300万票近い票を獲得したのは、これまで静観していた無党派層からの流れと、国民民主党も含めた既成政党からの保守票が大きかったらしい。参政党の主張は、正直なところポピュリズムの中のポピュリズムみたいな内容で個人的には全く信用できないけれど、そう言うことに免疫が無い層や若い世代等は、まず目先の利益に飛びついちゃうんだろうなぁ。特に最近はネットワークの情報が大きく影響するし、そのネットの情報と変わらないような報道を既存メディアも多数発信しているし、リテラシーというか免疫の無い人には影響は甚大。これと似たような経験を、旧民主党政権誕生でしている世代はまだそこで判断出来るけれど、その当時の記憶が無いであろう20~30代位は真に受けてしまうでしょうね。まぁ、そうやって経験値を積むのも今のネット社会の宿命なんだろうけど。

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