この指摘に注目。日本文化全体に言えることかも。「これほどまでにジブリ風が拡散した理由は、圧倒的な居心地のよさだろう。特に古い友情が崩壊し経済が急速に変化する慌ただしい世界情勢の中では」/「ジブリ」風、不確実性に満ちた世界に拡散 https://t.co/c19Ic8hEV3
— 佐々木俊尚 新著「フラット登山」4/23発売! (@sasakitoshinao) April 4, 2025
佐々木俊尚氏が紹介していた、なぜ「ジブリ風AIアート」が拡散したのかという考察記事。理由は「圧倒的な居心地の良さ」という説明。この記事を読んで思い出したのが、やはり佐々木俊尚氏が以前指摘されていた、松原みき氏の「真夜中のドア」を筆頭に1980年代J-POPが今世界的にブームになっているのは、当時の居心地の良さが理由という以前の書き込み。ちょっと調べてみたら、「真夜中のドア/stay with me」は1980年のリリース。ジブリの最初の作品は、1984年の「風の谷のナウシカ」 だけれど、ジブリの源泉である宮崎駿氏は、1970年代からいろいろな作品に関わっていて、ジブリ風を感じる「未来少年コナン」とか、「ルパン三世・カリオストロの城」が1978年、1979年だから、やはり1970年代中盤くらいから1980年代1990年代にかけて、当時の日本は独特のモードというか、ある意味特異点に存在していたんじゃ無いだろうか。
1980年というと、昭和55年で、バブル崩壊にはまだ少し余裕もあった時代。バブルの頂点をどこに想定するかは難しいところだけれど、1970年代から日本の景気がどんどん上向きになり、いろいろな意味で加速度が付いていたのが1980年代じゃないだろうか。私は1985年に新社会人になりましたが、所謂「大量採用時代」の1年目で、会社の同期は1900人近くいましたからね。その後5年間毎年2000人前後の新入社員採用をしたので、1984年時点では社員数1万人余りの会社が、その5年後には2万人を超えたわけですから。その分、お客様からは社員の質が下がった(経験値不足)は何度も言われて、特に営業系は逆に競争やプレッシャーが厳しかったかもと今にしては思います。でも、同期入社したハードウェアエンジニアは、3年後に営業への配置転換をリクエストして開発から出て行き、その後専務まで努めて定年退職したのかな。まぁ、有望な人材もたくさんいた時代だと思います。
自分なりに当時の雰囲気を思い出すと、やはり良い意味でいろいろな無駄が許されていた時代。「無駄」というと語弊があるけれど、待遇を良くしないと人材が集まらなかったし、そこに資金を投入するだけの余裕も会社や社会の中にまだあった時代。新入社員研修で、4月1日の入社式の翌日から、大量採用になったため東京と大阪に分かれて約半年間の新入社員研修があったんですが、この新人研修も含めて新入社員一人に掛ける研修費用は、一人当たり数百万円位と聞いてびっくり。さらに、以前はもっと経費をかけていたけれど、採用人数が増えたので減ったという話を聞いて二度びっくり。「無駄」と行ったけれど、それを「余裕」に変えていき、それぞれの個性なり資質を見極めて行った良き時代だったと思います。最近は「昭和レトロブーム」らしいけれど、その時に話題になるのは昭和50年代が多い気がします。
もうあのような「古き良き時代」は戻らないのか。希望としては、日本のアニメ・漫画が今世界標準というか、個人的には「世界汎用表現」になっている気がするんですよね。昭和時代がある意味「物に対しての消費」だったのに対して、今のアニメなどの動きは「事に対して消費」に繋がる気がします。それがインバウンドの増加で、さらにそのインバウンドも数年前の「爆買い訪日」が、今は色々な経験や有名観光地から地方へ拡散していく「ことの訪日」に変わっているのが一つの証拠と言えるのでは。注意することは、多分以前よりも入れ替わるサイクルは早くなっていると思うんですよね。ただ、だからといっていろいろな「こと」を増やせば良いのでは無く、これからはその「こと」のレベルを掘り下げていく「団塊の時代」ならぬ「段階の時代」に変わるのでは無いかと言う気がしています。例えば、本場のお鮨を食べて感激したら、次回はその握り方を見てみたい、自分で握ってみたい、山葵の本物を見てみたい、東京の有名寿司店では無く、地方の地物の名店を体験したい、と、日本人でも興味が沸きそうな「深掘り」が幾らでも沸いてくる。そういう体験を、例えば毎回記録していき、それが訪日する度に増えて行き新しい体験に繋がる情報提供や割引等のサービスだとか、あるいはその体験をSNSで公開して某かの収益に繋げる方法を、その当事者と地域なりサポーターなりで盛り上げていくとか、日本人にとっての日々の小さな変化を、たまにしか訪日できないインバウンドにはまとめて濃縮して見せてあげるというのが、次のキラーコンテンツにならないだろうか。案外、大阪万博が一つの試金石になりそうな予感もするんですけどね。
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