MLBのオープン戦、Cubs vs. ジャイアンツ戦で使用された、「ボリュメトリックビデオシステム(Volumetric Video System)」が、米国で話題になっているという記事。私もこの試合中継を観ていて、その再現されたシーンも見ましたが、確かに凄いと感じます。欲を言えば、選手の様子等が何となくアニメの画質っぽい感じになるのは、多分処理速度の問題何だろうけど、確か100何十台というビデオカメラが撮影した全方向からの映像を、3秒で合成して目的のシーンを任意の視点から再生出来るというもの(と、番組で説明していたと思う)。
昔も「自由視点映像」みたいな言い方で似たような映像を巨人戦で流していたことがあったように記憶していますが、その時はその選手の輪郭がガクガクだったりして、不自然さの方が目立ったけれど、今回の映像はもっとスムースになっていて、十分実用に耐えるだけの品質だと感じました。この「ボリュメトリックビデオシステム(Volumetric Video System)」って、どこのベンチャーの技術なんだろうと思ったら、何とあのキヤノン様がやっていると今回知って二度びっくり。しかも4年位前から最初の技術は公開されていて、その当時は範囲も狭い能舞台とかだったけれど、2022年にはもう東京ドームで公開していたんですね。これを朧気ながらに記憶していたのだろうけど、当時はそれ程凄い技術とも思わなかったのはご免なさい(笑)。
この手の映像技術、特にNFL、MLB、NBA、NHLのアメリカのメジャースポーツでは、昔から先鞭を付けるのはアメリカというのが常識で、最近では日本でも大きな試合で使用される、和イーでカメラを吊してフィールド上空から縦横無尽に撮影する「スカイカム(Sky-cam)」を最初にNFLで見た時に、もうただただため息が出るばかり。最近のNFLの試合では、例えばエンドゾーンのパイロン(境界を示すオレンジ色の立方体のマーカー)の中にカメラが仕込まれていて、TDシーンが再生されたり、微妙なプレーや判定を複数の視点から即座に再生したりと、多分何十台というカメラで一つのプレーを集中して撮影して、それを瞬時に再生することが普通に行われていますが、あれも凄い。ある意味物量作戦の勝利ですよね。まぁアメフトの場合、ビデオリプレーが発生するから、常に多方向からの映像でプレーを撮影しておく必要が有るのだけれど、でもこの今回のボリュメトリックビデオの場合は、カメラ台数だけで言えばその何倍ものカメラを設置しているわけで、それならばリアルな映像再生もして欲しい気がする。
「キヤノン」と言えば、一般的には「デジタルカメラメーカー」という印象が一番強いと思うんですが、放送機器ではSONYと世界市場を二分するような存在。高解像度カメラの開発と提供が、4K、5K、6K、8Kと「どの様に撮すか」という基本部分ではある程度まで到達したところで、今度は「どの様に見せるか」という応用部分への開発へシフトして、市場開拓しているんでしょうね。例えばこの技術が、今の街中の監視カメラ網に適用できたとしたら、何か事故があったときの証拠映像として多数視点から検証出来てより公平精確な評価が可能になるかもしれない。まぁ、最初の頃は街中の監視カメラもプライバー問題で揺れたけれど、それもその機能や効果が認識されると、今ではそんな声は聞こえないし、それ以上に一人一人がスマホを持ち歩きカメラ機能出回りを撮影している時代になった今、「常に撮影されている」というの、「空気を吸う」みたいな感覚に成りつつ有るのかもしれない。まだまだ夢の夢だけれど、小さな空間でも実現して広がってほしい。
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