2024年6月30日

振り返りの旅

天皇皇后両陛下の英国公式訪問が終了し日本に帰国されたわけですが、天皇陛下と同世代の人間として、報道される様子を見ていて僭越ながら何となく共感のようなものを感じました。それは、最終日のオックスフォード大学訪問の様子を見てのこと。天皇陛下は、2年間留学されたわけですが、その2年間は本当の意味で自分のやりたいことを好きなように実現出来た、貴重な2年間だったのだろうと感じるわけです。自分も年を重ねる毎に、何かの切っ掛けに若い頃だったり昔のことを思いだしたりすることが増えているんですが、様々な制限が存在している天皇陛下としては、その2年間は格別なものだったのだろうと思います。

天皇制度に関しては、様々意見があり自分もどちらかというと否定的な意見を持っているのだけれど、とは言ってもその存在は良くも悪くも日本の中では特別なものだし、今回の英国王室の盛大な歓迎振りを見るとその存在感は大きいものだと感じます。世界情勢の変化とともに、これまでの日米関係に加えて、日英関係も急速に密度を増している気がするんですが、それもあってか今回の公式訪問は非常に大きな意味があったと感じます。それに皇后様も留学経験のあるオックスフォード大学を再訪でき、お二人にとっては忘れがたい訪問になった事は確かでしょうね。

有る程度の年齢になると、昔のことを思いだしたり、昔出来なかったことを挑戦してみたくなったりという事は、多くの人が感じることじゃ無いでしょうか。特に定年退職をして時間が出来れば、その時間を自分捜しとか心残りの事柄を実行する時間に充てるのは自然な発想だと思います。まぁ、それで羽目を外したり失敗したりする人生も多いわけですが、日頃様々な制約や行動が限定されている両陛下に取っては、今回の英国ご訪問は公務では有るだろうけど、自分達の半生を振り返る貴重な旅でもあったんだろうなぁと感じます。出来れば、また何年後かにも再訪できる機会があればと個人的には願うばかりですね。天皇皇后両陛下という、特別な立場の存在ではあるけれど、其れ以前にやはり自分達と同じ一人の人間でもあるわけですから。天皇陛下が英国国王の公式晩餐会で返答のスピーチをされた時、祖父に当たる昭和天皇や上皇天皇の話題に関して、「祖父は(My grand farther)」とか「父は(My farther)」と言う普通の言い方をされて、「あぁ、皇室でもそう言うのか」とちょっと新鮮に感じました。それもあって、以前と比べると「同世代間」を強く感じるのかもしれませんが。

天皇陛下と比較する話でも無いのだろうけど、自由に自分のこれまでのことを振り返ったり、場合によってはその思い出の場所へ再訪したり出来る事は幸せなことかもしれない。過去を懐かしむようになるのは、年を取ってきた証拠だろうし過去を懐かしむのは人生も終盤になってきた証拠かもしれない。ただ、そうやって思いだすこと自体は決して悪い事じゃ無いし、再訪する機会がありその場所を訪ねてみて、以前とは違う発見があればそれはそれで価値ある事だと思います。自分も、始めて海外出張となったNorth Carolinaへは、また行ってみたいと思うし、仕事で一番思い出のあるFloridaにもこれからも再訪したいと思っています。海外に拘るわけでは無いけれど、それらは自分の人生においての大きなマイルストーン(一里塚)であったし、その後の人生や考え方にも大きな影響を及ぼした滞在でも有りましたから。そういう行為も、ある意味「終活」の一つなのかもしれないと思います。

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