2024年2月17日

The Silent Service (2)

Season 1前半(第一話~第六話)に続いて、昨日から公開が開始された後半(第七話、第八話)を堪能。二話合わせて2時間弱ですが、やまと-日本首脳会談から、東京湾海戦からの、やまと脱出劇が上手くまとめられていて、次のシーズンへの期待感が膨らむ構成だったと思います。もう一度最初から見直しても、多分飽きないだろうし作品としてよくできた内容だと思います。さすがAmazonというか、まぁある意味採算度外視的な部分はあるんだろうけど。

一通り観て個人的に感じる違和感というかその必要性というか、それは原作には無い登場人物の女性キャスター「一谷裕美」役の上戸彩さんかなぁ。想像するに、今回のシリーズの一つのテーマである、核廃絶、核抑止力という部分を強調するために、追加されて重要な場面に登場するのだろうけど、やまと-日本首脳会談中に何度か挿入されるシーンだと、「やまとは核を保有しているのか」と無理矢理質問するシーン、そしてそれを受けて生放送で反旗を翻すシーンというのは、何かこの物語の内容を説明しているようでちょっと興醒めしたというか、それを潜水観戦あるいは「海江田vsベネット」「海江田vs竹上」「海江田vs深町」という対立シーンから読み取らせるのが、原作の醍醐味だったように思うんですが。まぁ、国内だけで無く世界同時配信を目的にしているし、その中には色々な人が居るからこういう説明役みたいな存在も入れないと、物語として成立しないのだろうけど。

その「世界同時配信」を考える場合、例えば日本の独自の世界観というか「平和主義」みたいなものとか、「自衛隊(Self-Defense Force)」なる「軍隊では無い軍隊的存在」なる定義が、どれだけ海外で理解されるのか、そこが難しいと思う。やはりこの原作の醍醐味の一つは、そう言うに本独自のと言うか世界から観て唯一奇異な存在でありルールである、日本の防衛意識をどのように崩していくかという話だと思うんですよね。だから、首脳会談での竹上総理が、やまとと同盟を決定し、指揮権を自衛隊が持つことを確認した上で、国連軍という大博打に打って出るシーンが生きるのだと思うのだけれど。ただよくよく考えてみたら、自分くらいからもう少し下の世代くらいなら、学校なんかで日本の憲法とか社会情勢、さらには親世代や祖父母世代から太平洋戦争の話なんかも子供の頃聞いて記憶して居る人間も多いだろうから理解出来る話も、40代くらいから下の世代となると、日本はもう完全に復興していて「戦争」の「せ」の字も知らないで成長してきた世代だろうから、やはり海外に対しての説明と同じような補足が必要なんだろうなぁ。原作の連載が、もう30年以上も前なんですものね。

このシリーズが始まったときに、一番最初に感じた違和感が、導入部分で「海江田艦長、深町副長」の海難事故から、乗務員が犠牲になるという、やはり原作に無いシーンから始まったこと。結局それが伏線となり、最後の第八話で回収されるんですが、これもSeason 2が有るかどうか分からない時期のSeason 1としてシリーズ完結するために入れたような気がするなぁ。しかも東京湾海戦で、海江田艦長が深町艦長に湾内の沈没船に魚雷を撃って巻き上げて、敵魚雷防御するように伝えるシーンがありますが、あれだって原作では深町艦長は自分で分かっていて行動しているけれど、シリーズ冒頭の海江田-深町の関係を補強するために、ああいう「教える」シーンを入れたんだろうか。そこはちょっと興醒めというか、いゃ深町はそうじゃ無いだろうとツッコミを入れたくなったけれど。最後も原作とは反対に、やまとが泥に埋まった「たつなみ」救出に向かうのだけれど、あれも冒頭の海難事故シーンに対しての一つの答えとして、回収しているシーンなんですよね。原作と異なる場面や設定も多いけれど、複数シーズンで何十話位の最終構成を想定して、その最初のSeason 1だと思って観れば、やはり久し振りに見応えのある面白い作品だと思います。だから、コミックの「沈黙の艦隊」の実写化ではなく「The Silent Service」という配信コンテンツと思ってみれば、納得も出来るし存分に楽しむことが出来ると思う。そうそう、一つ要望したいのは、コストや色々大人の事情はあるんだろうけど、水中シーンや魚雷戦のシーンを、もう少しビジュアル重視でCG化して欲しかった。今の状態では、何が何やらよくわからないで終わってしまい勿体ない気がする。さて、Season 2は作られるのだろうか。個人的には、北極海海戦からの、米ソの核戦略抑止という多分このシリーズの大きなテーマが描かれるシーズンとなるはずだから、そこまでは続けてほしいなあ。結構地味な話になりそうだけれど。

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