ここ数日テレビCMでよく見かけるGoogleのスマホPixel 8。そのCMで協調されている「ベストテイク」なる機能にビックリ。今のスマホのカメラ機能では、シャッターを押した前後数枚の写真も保存しておき、シャッターチャンスの写真が例えば目をつぶってしまい失敗しても、その前後の写真から良いものをピックアップする機能を最初に聞いた時には「デジカメの時代だなぁ」と感心しました。その後、Pixel 7で「消しゴムマジック」が登場して、をぃをぃPhotoshopいらないじゃんとか思っていたら、このベストテイクですよ。
集合写真とか顔写真を撮影した場合、どうしても中の人の表情が悪いとか目をつぶっているとか横を見ているとか不満が残るものですが、連写した複数の写真から部分毎に良い表情(顔)を切り出して合成するという、何とも荒技な機能。私も多少はPhotoshopを弄るので、この手の合成作業は昔からやってますが、顔の合成って結構難しいんですよね。顔の向きを変えずに、目・鼻・口だけ入れ替えるのは比較的簡単なんですが、例えば横向きの顔を正面に向けるとか大変。元の顔部分を削除して新しい顔を合成するんですが、顔の部分のサイズとか向きが違うとその差分を修正補完しないといけない。特に髪の毛の処理が細かいし微妙なので大変。ある程度解像度があればまだしも、そうで無い時には手で絵を描くようなレタッチしたりしないといけないし。まぁCMなので決して悪いようには見せないと思うけれど、実際にこのベストテイクがどれだけ使えるかは試してみないと分からないところ。
ここでふと疑問を感じるのは「写真」って何なんだろうという事。写真は、それまでの仕組みから時間の流れの一瞬を切り出すものという言い方をされてきたし実際そうなんだけれど、ここまで加工をしてしまうと「写真」なんだろうか。「画像作品」とでも言った方が適切なような気がしますね。プリクラなんかだと、随分前からエンハンス機能が過激すぎて、もう元の絵が誰なのかも分からないものが印刷されてきたりしますが、あれはまだ「加工すること」が楽しみというか面白みでもあるので、ああ言う物と理解出来ます。でも、このベストテイクともなると「そうなって欲しい、そうして欲しい」という絵作りをしているわけで、それを「昨日撮影した写真」と言ってしまったら、それは不味いような気がする。みんな笑顔の記念撮影を残したい気持ちも分かるし、それだからこそ何枚も写真撮影したりするんだろうけど、力尽くで作ってもなぁ...
例えば、個人のあるいは身内内の記念として、そういう写真を作成して共有するのは、まぁ有りだと思うんですよね。あくまで個人や親密なグループ内での話だから。でも、最近ネットでも氾濫している「捏造写真」とか「偽造写真」みたいな物にもなりかねない気がします。例えば人物の顔を別の人物の顔と差し替えたら、会ってもいないのに「密会していた」みたいな話がまことしやかに作れてしまう。多分、このPixel 8のベストテイクには、その時連写した写真からしかコピー出来ない見たいな、何らかの制限が加えられていると思うんですが、でもそういう技術がスマホレベルで実現出来るという事は、もっとリッチな環境なら造作なく出来てしまうだろうし。大体生成AIで見た目リアルな映像が簡単に作れてしまう時代ですからね。そのうち写真を撮影するのでは無く、登場させたい友人達の「仮想人格」を作って、その仮想人格達が指定した背景に集合して、そこでベストの一枚を「生成撮影」して、究極の一枚が出来る時代になるのかも。と言うか、仮想世界がどんどん現実的になっていけば、簡単にそんなことはできそうな気がする。「写真」は「真を写す」という意味だけれど「真らしさを写す」に意味が変わってくるんじゃ無いだろうか。
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