2023年5月17日

持ちつ持たれつ

ジャニーズの元社長である故ジャニー喜多川氏による、少年への性犯罪問題。ジャニーズ事務所からは、現社長による公式の謝罪と説明ビデオが公開されているけれど、正直なところその内容をそのまま信じる気にはなれない。芸能界とかアイドルとかジャニーズとかに興味が無い自分では有るけれど、この手の話って昔からポツポツと言われていたことで、でも直ぐに消えちゃうんですよね。芸能界の大御所であるし、放送局や雑誌等では重要な素材提供(タレント供給)の会社ですから、機嫌を損ねたくない。ジャニーズ事務所だけで無く、昔から大手の芸能事務所とか大物タレントに関しては、見て見ぬ振りをしてきたのがメディアであり芸能ジャーナリストだったのでは。

例えば、有名ではあるけれど、そんなに大物では無い俳優さんとかが同様の事を言われた場合、多分直ぐに仕事が減って場合に寄っては芸能界・俳優引退と言う事もあるんだと思うのですが。少し前に「忖度」という言葉がよく使われるようになったけれど、昔から大物には忖度していたのが、この業界と言っていいのでは。今回の件も、当事者であるジャニー喜多川氏も、その姉であるジャニーズ事務所の責任者だったメリー喜多川氏も亡くなっているから、当事者の説明が出来ない事もありますが、周りの芸能関係者も、それを理由にこれ以上の追求はしないんじゃ無いだろうか。

何十年か前田と、渡邊プロが「ナベプロ」と言って今のジャニーズ事務所みたいな存在感の有った時代がありますが、あの頃のスキャンダルも結構曖昧にもみ消されて、暫くしてほとぼりが冷めると何食わぬ顔をして復帰していたりした記憶があるなぁ。それよりもさらに少し前だと、芸能タレントは地方興行などで現地の興行元との付き合いが大切で、そういう人達の場合当時の時代背景から所謂反社勢力つぽい組織や人達が観覧でいることも多かった時代。某昭和を代表する大歌手が、暴力団の組長と並んで写真に収まる、みたいな話は結構聞いた記憶があります。個人的には、時代がそういう時期だったから仕方ないこともあると思うし、そこまで昔のことを発掘して今批判する事にどれだけ意味があるのかは疑問。でも、今回の場合はつい最近までそう言うことがあったかもしれない事象なわけで、簡単に風化させるわけにも行かない。

あれだけ大きな謝罪ビデオの公開があったけれど、今朝の芸能ニュース等では事務所所属グループのコンサート情報とか活動レポートみたいな事をテレビでは流していて、そこはどういう対応というか立場なのか一度説明を聞いてみたい気がします。もちろん、疑惑があるのは経営者側で所属タレントは被害者なわけですが、エンターテイメントを提供する事が目的の会社が、それを裏切るような不祥事と思われる行為を犯した疑惑が言われているのだから、そこ何かけじめなりもっと踏み込んだ謝罪みたいなものが必要なのでは。あと、こういう問題って「芸能界」が特殊な環境・職場だから発生したわけじゃ無くて、大きな組織とか団体になれば、権力や立場を利用して強要すると言う話は幾らでも出てくるもの。少し前に、女性の人権を謳っていた写真家が、実は複数の女性(スタッフ)に対して性加害的な行為を長年行っていたことが分かったけれど、あれだって結局は有耶無耶に終わってしまい、その当事者の写真家氏は似たような運動にまた参加していたりするんですよね。肝心なメディアだって、社内にそういう問題があると女性社員がアンケートで回答しても、それで終わりだし。結局は、どんな場合であっても何か組織体が生まれれば、そこには上下関係や力関係が自然に生まれてきて、優越の利用をした一方的な加害行為は発生することをもっと認識しないと。そう言う意味では、このジャニーズ事務所問題は単純な芸能事務所の問題だけで無く、LGBTとか女性差別とか弱視支援とか、色々な物事に対して検証が必要な事例になると思うなぁ。

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