2022年11月9日

立場を逆にして考える

ジャーナリストの佐々木俊尚氏のnoteから、様々な視点の議論で立場を入れ替えて考えるという話。記事でも触れられている旧統一協会関連の報道がまさにそうなんだけれど、本来ならば個別に是非を判断するべきが、「旧統一協会=悪」と言う前提飲み判断するため、それに関わる物全てが悪、肯定する物全てが悪、理由はどうあれ全て悪、みたいな論調で政府までが動いていることが問題だと思う。このロジックを言い出したら、例えば何か罪を犯した人は、その背景や状況を情状酌量する必要無く「罪」と認めてしまうことになってしまう。あるいは、一度何か罪犯してしまい、判決で出された刑期を終えたとしても、以前の罪を延々と指摘されて批判されることになってしまう(これは、現実社会では往々にして続いているけれど)。

今回佐々木氏が指摘されている「入れ替わりの可能性」というのは、日本人には一寸慣れていない考え方のような気がします。それは以前も一寸書いたけれど、アメリカなんかではよく行われる「ディベート教育(debate)」が殆ど行われていないからというのが持論。日本で「ディベート」と言うと、殆どの場合「討論で相手を論破する」みたいな捉え方をしている場合がほとんどでは。だから「はい、論破!」みたいな言葉がトレンド入りしたことも。ディベートというのは、確かにあるテーマに関して賛成・反対の立場で討論をして、相手を論破するのだけれど、肝心なのはその後に今度は立場を入れ替えて、逆の立場で討論をして相手を論破する事。例えばジェンダー問題を討論する時に、ジェンダー賛成の人は、次には反対の立場から伝統的な役割分担とか生活様式とか言う、彼らがこの世の中から無くしたり改善したいことに対して「賛成意見」を出して相手を説得しないといけない。それによって、自分達の元々の考え方の偏りとか間違いが発見できるし、結果的にどちらかの意見に集約されるとしても、それによってより広い知見が得られるから到達した結論は以前よりも柔軟性だったり許容範囲が広がり、寄り多くの人が納得出来るものになるでしょう。

今回の話の発端は、旧統一協会に多額の寄付をした母親の影響で長年協会に恨みを抱いていた人間が、どう言う切掛か定かでは無いけれど、直接関係ない安倍元総理を射殺する事件を起こしたこと。安倍氏は旧統一協会とは直接の関わり合いは無いし、しかも容疑者の母親と旧統一協会との多額寄付等の行為も最近の話ではなく、10年20年前の話だったりするわけで、個人的には何か逆恨みのような気もします。さらに、彼と母親だけしか以内関係ならまだしも、その後のインタビューなどでは親戚の方等結構多くの方が周りに居て、それなりに対応していたように感じるのに、彼だけが何か一人だけの世界でもがいているような印象を受けます。母親が行っていた寄付にしても、容疑者の預金とか資産を奪われたというわけでも無い訳ですし、将来的に相続するかもしれない遺産だとしても、それは現時点では彼の物では無い。彼の境遇には同情する部分もあるけれど、言い方は厳しいかもしれないけれど彼の言い分には逆恨み的な部分も少なくない気がします。そう言う意味では、先ずやるべき事は安倍氏射殺事件は事件としての捜査であり、それとは別に宗教活動の適正さに関しては、別に旧統一協会だけでなく全ての宗教法人に対して行うべき話だと思うし、場合によってはそれ以外にも波及するべき話では。例えば、未だに被害が絶えない勧誘販売とか原野商法みたいなものとか。

佐々木氏のnoteの最後(無料公開部分)では、オウム真理教に破防法適用が出来なかったことを取り上げていますが、それに対して日弁連の反対意見を紹介しています。当時の自分の記憶では、オウム真理教は宗教法人の姿をした暴力団体だと主のだけれど、一度宗教法人として認められてしまうと法律的にはそう言う言い方をしないといけないんだなと、何か矛盾みたいなものを感じました。ただ、その宗教法人が少人数の団体で、その構成員全てが何かの犯罪に荷担したのであればまだしも、多分多くの信者は(良い悪いは別にして)その当時のオウム真理教の教義に何か救いを求めて信者になった人達だろうし、そこには信仰の目的は合っても、一部幹部が暴走した行為に荷担することを良しとした人は居なかったと思うんですよね。そう言う意味では当時の日弁連の対応は法律的には正しいと思うのだけれど、今回は逆の立場を取っている。法律は変わっていないのに。逆に、今の法律では宗教法人と言えども寄付行為など厳しくなっているはずなんですが。旧統一協会に多くの問題があった・ある事は事実だと思うし、今回の安倍氏射殺事件に影響があったことも事実だと思うけれど、余りに集団ヒステリー的な反応でメデイアや政治や社会まで反応している事に疑問を感じます。それこそが、実は彼らが指摘している「カルト」なるものじゃ無いだろうか。凄く危険な状況だと思う。

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