2022年6月21日

小型EVの時代 (2)

日本電産の永森会長の発言が物議を醸しているようですが、特に地方などで日常の通勤とか買い物などの目的で使用するのであれば、十分納得出来る発言だと思います。私も日産が「サクラ」を発表したときに、地方での生活の足として使うなら十分ありと言う話を書いたけれど、例えばサクラのように180kmの航続距離で180万円位するよりも、100kmの航続距離でも100万円を切る価格になるなら、私なら後者の方を選ぶと思う。

ただ、ここで重要な事は、大前提として「自宅でも充電出来る設備がある事」が可能で無いと、地方でもEVは中々難しいと思う。例えば通勤に利用することが殆どで、その通勤先の駐車場に給電設備があり、毎日そこで充電出来るような環境にあるなら自宅での充電設備は無くても良いかもしれないけれど、中々そんな好条件の職場は無いでしょう。自宅近くのイオンモールには、屋上にある屋内駐車場に220Vも含めて充電可能な駐車スペースが7~8箇所あるので、そう言う環境ならばほぼ毎日イオンモールに通って充電するという「裏技」も有るかもしれない。いずれにしても、生活環境によって航続距離の問題の比重は大きく変わるけれど、逆に地方に住むと充電環境は都会よりも悪くなるから、その為に自宅あるいはそれに近い条件で充電可能な設備投資も出来るかどうかが大きな鍵になるでしょうね。 

結局車を所有すると、いろいろと負担が増えるわけです。税金や保険もそうだけれど、一番の問題はあれだけのサイズの物を保管しておく「車庫」スペースが必要ということ。一軒家などで空きスペースがあり、駐車場とか準備出来れば良いけれど、多くの場合は一軒家でも駐車スペースが無い場合も有るだろうし、マンションとかだと駐車スペースがあっても給電設備を後から増設するとかも出来ない。自宅で充電出来るというのは一つの理想系ではあるけれど、中々敷居も高い要求だと思います。となると、自宅以外で確実に充電出来る環境整備をしないと、EVの価格が下がってもそれが次のハードルになると思う。今現在はEVの数も少ないから何とかなっていても、それが何倍にもなったら、充電設備もそれに比例して増やさないと、EVは増えても充電出来ないと言う事になるわけですからね。よほど画期的な技術が登場しない限り、充電時間の短縮も中々難しいだろうし、そうなると「30分」という時間を消化する別の手段と組み合わせないと遡及は難しい。自宅で充電というのは、夜間寝ている間に充電出来るから問題無いのですが、同様に「買い物に行けば、その間に充電出来る」とか「通勤して会社の駐車場に駐車している間に充電される」とか、日々の生活の中で自然に必要なだけ充電出来る環境整備も整わないと、仮に安い軽EVが登場しても、中々今のガソリン車とかハイブリッド車を交換するまでには行かないと思う。

忘れがちな話何ですが、BEVというよりはバッテリーは結構温度に敏感で、使用する環境を選ぶエネルギーでもあります。だから、寒さが厳しい北海道や東北・北陸地方などでは、冬場は使えないという話も。逆に高温もバッテリーにとっては良くない環境なので、沖縄などの夏場とか場合によっては温暖化で本州でも暑くなると調子が悪くなるという事も有るかもしれない。さらに言えば、「航続距離」の話は、あくまでバッテリーに充電されているエネルギー量をモーターなどの動力消費分で割った値なんだろうけど、寒ければ暖房を、熱ければクーラーを入れる訳で、それもバッテリーのエネルギーで賄わないといけないのがBEVの宿命。となると、100kmの航続距離も80kmとか70kmとか目減りするだろうし、さらに寒いとき暑いときにはバッテリーの能力も減退して、50kmとか40kmとかしか持たないかもしれない。もっと言えば、今年の夏や冬は電力供給不足の懸念がありますが、もしかしたらそれによって「BEVの充電を控えてください」なんて言う要求が出てくるかもしれない。実は、BEVが普及すればするほど、電力供給の基盤だって整えないといけないわけで、そう言う意味では単に航続距離の問題では無く、社会インフラの更新と言うくらい大きな話題じゃ無いかと思うんですよね。そう言う話も含めて、後10年20年でどうするのかという大きなプランをしっかりと出して欲しい。ただ、そう言うものってどうしても都会から始まり地方へはさらにその後になるので、その点でも矛盾を感じるんですけどね。

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