2021年4月6日

裏の構図

ここ数日ネットを騒がせている、車いす利用者の女性が、熱海駅隣りの無人駅である来宮駅での対応で差別を受けたという話。最初は「JRも大変だろうけど、これもサービス業だし」と思っていましたが、ご自身でこの件のコラムを拡散されたりして話が広がると、色々な情報が発掘されてきて、それを見るに付けてかなり自分の印象も変わっていくことに。少し前にあった、LCCを利用を断られた車いす乗客の件と同じく、言い方は悪いけれど「注目を集めること」が目的なのではと勘ぐってしまう。

一昔二昔前ならいざ知らず、今の時代身体的違いや障害の有無、あるいは性別等で差別されること無く、誰もが等しく社会サービスを受けられるべきだし、そう言う努力は進めていくという事には全く異論は無し。只、だからと言って、いきなり世の中の仕組みがそういう風に切り替わるわけでは無いし、どうしても時間も掛かるし、それは人手や費用も必要という意味にもなります。これまで不便や不満を抱えてきた側にとっては、勿論一日も早く今から直ぐにでもと言う気持ちが強いことはよく理解出来ます。でも、何か魔法でも無い限りはそんなことは実現不可能なわけで、無い物ねだりをしても何も変わらない。それよりも、ゴールに向かって出来るだけ多くの人と協力して、根本的な解決策が提供されるまで、どの様に対処したらより多くの人が幸福になれるのか、そう言う事を実現して積み重ねていくことの方が、よほど建設的だしそこに掛かる時間にしても相互の理解を深めるために決して無駄にはならないと思う。

今回の件で一番の問題は、ご本人がどう言う理由かは分からないけれど、無人駅である来宮駅を利用することにこだわり、しかもこれもどう言う理由か分からないけれど、事前にJRに問合せなり利用依頼等の手続きをせずに当日いきなりサポートを要求したところだと思う。勿論彼女には、「障害が無い人ならば、そんな手続き無しで利用出来るのは不公平」という言い分があるかもしれない。例えば、これが新宿駅とか東京駅とか、そう言う駅で発生した事象なら問題だと思うけれど、駅員も無い利用者も少ない「無人駅」での話なわけで、当然駅サービスとしても必要最小限の提供しか出来ない状況でしょう。それでも、事前に連絡すればJRとしても必要なサービスは提供するだろうけど、それをしないで問題だという。実は、熱海駅から介護タクシーなどのサービス利用が可能で、そう言う代替案もあるのに受け入れなかった。何らかの理由で来宮駅に行くのであれば、それら代替案を利用すれば良いだけの話しなのに、そう言う事も拒否して頑なに今回の様な事を実行して、それに対して不満をかき立てる理由は何なんだろうか、そこが凄く不思議でした。その後、実は10年程前にも同様の事をこの方が新聞記事にしていたり、最近社民党の幹事に就任していたり、色々賛同する周りの人達が、ある意味有名な人達だったり、積極的に取り上げているメディアが某系列のメディアだったり、失礼を承知で言えば「胡散臭さ」を感じる方向に自分としては意識がどんどん変わっていったのが事実。

最終的に、4名のJR職員が電動車いすを降ろしたらしいけれど、それでこの人は満足したかもしれないけれど、その人員を割いた駅でのサービス低下、もしかしたらその職員の介助が必要な車いす利用者がその時にその駅を利用して困ったかもしれない。またこの人はバリアフリーの欠如を訴えているけれど、国交省としても一定規模以下の駅に関して義務とはしておらず、また職員の解除にしてもその乗客の安全性が優先されるから、場合によっては断ることも出来るようになっています。今回、電動車いすも含めて100kg以上の重量物を持ち上げて階段を利用するわけで、その時に転倒とか落下した場合には、職員側に責任が問われるわけですからね。勿論、意図的にそんなことを起こすつもりは露ほどもないだろうけど、万一と言う場合もありますし、実際同様の事案で「良かれ」と思ってやったことが、その後責任問題になることは最近多くなっている気がします。問題解決には、世間の後押しが必要で、その為にはそれなりの規模の注目を集める必要が有る、と言う事は理解出来る物の、だからと言って手段を選ばずみたいな事が許されるとも思えない。他に代替案が無く、どうしてもこの駅を利用しないといけない事情があるのならばまだしも、代替案も存在するし、手続きを踏めばちゃんと正式に補助が得られるのにそれを怠っているのに、相手が悪いという論理は通用しないと思う。例えそれが社会的に弱者の立場からの主張であっても、それは一寸違うのではないかと。今回件でも、代替案なり必要な手続きをした上で、そこでの問題点を指摘するなら非常に意味がある活動だと思うし、この駅にそこまでしてくるべき理由が有りその利益と必要なサービス、例えば無人駅ではあるけれど、エレベータ設置をするだけの価値を遡及できるのであれば、それは良い活動だと思う。でも、結局は自分の主張を通すためだけの我が儘を言っているようにしか見えないし、本当に必要と思うのであればまずはJRの広報なり会社に対して行動するべきだし、それをメディアで騒いで外から火を付けるような形で正当化しようとするのは、理解出来ないし賛成も出来ない。困っている人達に対しては今後も出来る事は支援したいと思うけれど、その中でもこう言う人達とはますます関わりを持ちたくないなというのが、正直なところですね。昔々、私の知り合いで、ネットでの所謂「教えて君」に対して、「無知を誇るな。」と言った人がいて、これはけだし名言だと思ったんですが、今回の件も含めて、同じ事はどんな場合にも言えますね。(続く...)

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