2020年5月6日

RNA vs 抗体

非常事態宣言延長の総理会見でも質問されていた、PCR検査の拡充ですが、以前も書いたように検査能力の拡大は良いと思うのだけれど、検査数を無闇矢鱈に広げるのは更なる混乱を招くだけではないかと。最近も、検査ミスで陰性結果が陽性と判定された検体が30件以上報告されたけれど、そう言うミスが多発する原因にもなるわけですし。

そもそもPCR検査は、コロナウイルスが持つ特定のRNA(リボ核酸)が存在するかどうかを判定する物で、存在すればコロナウイルス(今回の場合は新型コロナウイルス)も存在していると判断出来るもの。その感度も問題だけれど、仮にそこで陰性・陽性が判定されたとしても、それってその時点での状況、スナップショットでしかないんですよね。だから、極端な話、一時間後に再検査したら、陰性だった物が要請になるかもしれない。だから、陰性結果が出ることに余り意味が無くて、陽性かそうでないかの判定に意味がある物。だからこそ、CT検査などで肺に異常があったり、発熱等の異常状態の患者の検査をして、新型コロナウイルスかどうかの判定に使うことに意味がある物。

一方の抗体検査は、コロナウイルスが体内に侵入して、その免疫反応として抗体が作成されるわけだから、抗体があれば現時点以前に感染経験があることの確証の一つになる。だから、その結果はを生かしての対応が可能になる。集団免疫に関しては、まだ確実な事は言えないし、どうも抗体を持っていても再感染する例もあるみたいなので安心は出来ないけれど、少なくとも過去の感染経験の有無を判断する資料の一つなわけで、それは現時点でも将来においても意味のある情報。PCR検査では、「今感染している」事が分かるスナップショットが分かるだけで、それ以外の事象の判定は出来ないから、結局また次の機会次の機会と、検査を繰り返さないといけない。それに対して、抗体検査で抗体が確認出来れば、それ以降は検査は不要でかつ通常の活動をしても問題無い可能性が高いわけで、こちらは意味のある検査。ただし、こちらも抗体が見つからない場合は、再度確認の検査が必要な点は同じ。

経路不明感染の理由の一つが、無症状感染者によるものという想定はかなり確度が高いので、スクリーニング目的でPCR検査を実施して隠れ感染者がいれば、ホテルや自宅で自主隔離生活して貰うことは意味があると思うけれど、その時に問題となるのは感染率なわけで、これは3~5%位と言われていて、管理効率は悪い。さらに、隠れ感染者が見つかって自主隔離してもらうなら、それと同等の「距離を空けた社会生活」をしても同じ事な訳で、さらに「手洗い、うがい励行」をすれば自分が感染するリスクも減ることは、すでに分かっていること。結局は、わざわざPCR検査をしてごく僅かの感染者を少し早いタイミングで見つけるよりは、症状のある人中心に確認目的で検査をして、そこから重篤者に医療リソースを集中する方が、重傷者特に死亡者数を減らす最善の対応と思えるわけです。一番の誤解は、PCR検査で「陰性」が出ると、自分は新型コロナウイルスにもう感染しない証拠になるような誤解が、何となく広まっているんじゃないかという事。まずは、TPOは何かと言う事を、今だから再確認することが常用だなと強く感じますね。

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