2020年5月14日

ネットの防衛戦

政府配布の布マスク調達元の1社、福島県に所在するユースビオ社に対する未確認情報に基づいた報道や、理由無き誹謗中傷に対して。ユースビオ社が謝罪や損害賠償請求を始めるという記事。私も以前気になって一寸調べてみたけれど、少なくとも公開されている情報からは疑問を感じるような話しは無い。この記事では、経済評論家の岸博幸氏がTBSの番組の中で「政府の人間と繋がりがあったから」と話したらしいけれど、このインタビュー記事では会社から売り込んだのでは無く、その前に県などにマスクを提供していたら、県から調達の依頼があり、それが国での一括購入になったからと経産省に繋がり、そこからの調達先選定になったと説明している。少なくとも、その流れをまずは否定出来る材料が無いと、岸氏の発言は無根拠の中傷と言われても仕方が無い。

大手メディアの、誤報とまでは言わないまでも、不正確な情報発信だったり、無責任な配信により、これまでどれだけの人や企業が迷惑を被ったか、正直計り知れない。その中には、謝罪や訂正をした例も幾つかあるのだろうけど、結局一気に拡散した情報を上書きするほどでは無いので、最初の誤報や不正確な情報から生まれた誤解は、訂正後もずっと残ったまま。それに対して、原因となるメディアは、一度謝罪(みたいなもの?)を発信したら、それで全て責任は果たしたみたいな感じで、以後は知らない顔をするばかり。そう言う意味では、今回の件が少しはそれらメディアやそれによって軽率な行動を起こした人々に対しての反省というか、お灸になれば良いと思う。最近では、そう言う大手メディアだけでなく、SNSでの小さな発言が何かの切っ掛けに拡散して、一つの勢力みたいなものになったり、先日の改正法案のタグ騒ぎじゃ無いけれど、意図的に拡大拡散させることも可能になってきています。その気になれば、大手メディア以上の力が生まれつつあるネット社会を牽制する意味でも、今回の謝罪・賠償請求行動は大きいと思う。

今回の件は、仮に裁判となれば名誉毀損で争うことになるんでしょうけど、なかなか難しいという話も聞きます。今回も、多分岸氏の放送での「政府の人間と繋がりがあったから」という発言が、どれだけ事実であったか、またその発言から「癒着して不正をしている」という誤解をどれだけ誘発する要因になったのか、証明するには難しい気もするけれど、多分TBSという大きな組織体で、岸氏というそれなりに認知されていて影響力も大きい人の不正確な発言という事で、ユースビオ社側は追求するんだろうなぁ。個人的には、この手の曖昧な思い込みや言い方は悪いけれど勝手な想像での発言は、有名な人は勿論、個人の発言であっても一気に拡散する可能性のある時代なので、その点ははっきりさせて欲しいと思いますよね。そう言う意味では、国会議員は国会での発言に関して責任を問われない特権があるわけだけれど、国会以外の発言、例えば自分のtwitterでの発言とか、地方などでの後援会での発言などに関しては、今回同等の責任があるとして欲しい。でないと、先日のタグ騒ぎもそうだけれど、500万ツイートが、500万人の声になり、それが今では1000万人の声とか言い出しているわけですしね。

外出が制限されているときに、「自粛警察」なるものが生まれてきて、過剰に反応する人達が生まれやすい世の中にもなっている気がします。外出禁止要請等のストレスもあるとは思うけれど、やはりネットが普及して自分の意見や考えが広く拡散して、賛成とか反応があることが「快楽」と感じられてしまうんでしょうね。自分自身の感じ方の問題もあると思うけれど、入ってくる情報に関しても、ネットによって誇張されたり変質していたりしていて、それをそのまま鵜呑みにしてしまう人も多いのでしょう。それでも、現実の社会生活では道徳とか倫理みたいな社会ルールが要求されるように、ネット社会でもネットリテラシー、情報リテラシーは当然要求される物。今回の謝罪・賠償請求がどう言う形に進むのか、またどう言う形で可視化されるのか分からないけれど、そう言ったネットリテラシーに対しての一つの印というか、何かもっと建設的なネット社会へのステップにはなって欲しいと思います。

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