2020年4月29日

誤謬を誘導する記事

政府配布の布マスクを製造(正確には輸入)していた、4番目の企業と言われる「ユースビオ社」の社長とのインタビュー記事。布マスクは感染防止に効果無しと言う記事を掲載していた朝日新聞系列のメディアのインタビューというのが先ず引っかかるところだけれど、案の定タイトルの、
アベノマスク疑惑のユースビオ社長を直撃40分「脱税事件で苦労…学会3世で公明党議員と付き合いあるが、関係ない」
から受ける印象と、実際に記事から受ける印象は真逆と言っても良いほど。

まずはタイトルの「アベノマスク疑惑のユースビオ社長を直撃」というのが扇情的。「アベノマスク」なんて、一部メディアや野党議員が勝手に揶揄して使っているだけの言葉だし、「疑惑」だってそう言う人達が根拠も無く吹き上がっているだけの話。実際この記事を最後まで読んでみて、「確かに疑惑は深まった」と言えるだけの内容があるのか、筆者はどう考えているのだろうか。 というか、記事自体が記者の質問に答える樋山社長言葉を掲載しているだけで、記者の論評なり批評なりは無い。そう言う意味では、朝日系メディアとしては良心的と言えるのだけれど、それなら尚更誤解を誘発するようなタイトル付けは何なんだと、小一時間。大体「疑惑」と言うのであれば、その「疑惑」を説明して、それに対して社長の反論が正しいのか、間違いがあるのか、それを明確にして、疑惑の真否を問うべきだと思うのに、そんなものは1行も無い。逆に、社長の説明は、その場で確認出来ること、判断出来ない部分もあるけれど、説明としては筋が通っているし、それを「疑惑」というのであるなら、やはりちゃんと反論するべきだけれど、それをしていない事は、やはり社長の説明が正しいと判断するべきだろうなぁ。

また、「脱税事件で苦労」とか「学会3世で公明党議員と付き合いがあるが、関係無い」と、やはり誤解を誘うようなタイトル付けは意図的なんだろうか。実は、このタイトルの順番とは逆に記事の中で登場するわけで、本来なら、「公明党議員との付き合い、脱税では苦労」みたいな順番にするべきでは。ここはやはり「脱税」という、より犯罪に近い印象を強調したいだけなのでは。記事の中では、労働基準監督署からは許可を貰った雇用形態が、国税庁からは消費税逃れと指摘されて、結果的に国税庁の指導にしたがったという事らしい。「労基署の許可」というのがどう言う物なのか不明なのだけれど、結局は労基署と国税の判断の違いということなので、そこがどの程度問題だったのか、そこが分からないと何とも言えない。でも見出しで「脱税問題で苦労」という言い方は一寸変じゃないだろうか。何かトラブルを起こしたら、その後苦労することは普通だと思うけれどそれなら「脱税事件で苦労」とするべきでは。「脱税問題で苦労」の「問題」というのは、この社長個人的な問題なのかもしれない訳ですからね。記者も、その脱税行為として裁判に掛かったことには、実はそんなに問題視していないのではないだろうか。でも、タイトルにまず「脱税」と入れると、そのインパクトは大きい。その後の学会との関係にしても、普通に以前からの知り合いで、一度(かな?)12万円の寄付をしただけの話。そんな「知り合い」なんて、他党の議員でも幾らでもいるのでは。中には、外国人から献金を受けて問題になった野党議員も一杯するわけだし。

強いて言えば、確かに福島の一企業、それもこれまでマスク等の輸入経験がそんなにあるわけではない企業が、どうして選定されたのか、その経緯は政府として説明する責任はあると思う。量的には、興和とか伊藤忠とか、大手の方が数は集めやすいだろうし、調達先はよほど一社当たりの供給量が少ないので無ければ、企業数は少ない方が良いだろうし。個人的には、国内生産で管理が有る程度出来て、融通も利きそうな興和が第一の候補で、初期ロットで数を揃えるために一気に大量購入出来そうな伊藤忠が第二候補。後は、微調整というか、その時期やタイミングで供給量が調整しやすい企業を幾つか入れることで、需用と供給のバランスを取ろうとしたのでは無いかという気がします。その時に、布マスクなんて殆ど作っているところが無かったのに、たまたまこの企業のサンプルが品質が良くて、それなりに丁度良い調達量が可能だったとか、そんな感じじゃ無いだろうか。多分、4月とか5月とかに、それなりの量が揃えられる状態だったからだと思うんですが。いずれにしても、アエラの記事は本来の意図は別にして、疑惑に対しての回答になっていると思えるし、それ以上の疑惑があるならそれを指摘する人が明確な証拠とともに言うべきでしょうね。もう、個人の感想レベルの疑惑は、そのまま無視すれば良いと思う。

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