2016年12月16日

片側通行のメディア

沖縄のオスプレイ不時着事故の報道で、副知事側の言い分を垂れ流しているメディア各局。あの報道だけを見ると、恰も米軍の責任者は今回の事故に関して責任は無く、逆に沖縄県民に被害が無かったことを感謝しろと高飛車に言ったようにも取れるけれど、常識的に考えてそんなことは無いだろうし、その後の記者会見でもちゃんと普通の事故対策と遺憾の意も表している。

今回の一連の報道を見聞きして感じるのは、がちがちの反米意識に固まっている沖縄の地元二紙は仕方ないとしても、全国紙ですら副知事のコメントのみを使用して米軍側の話を聞いて裏付けをとった様子が全くない事。一般の事件であっても、被害者だけに取材してその言い分だけを報道したり、逆に加害者の言い分のみ報道することは決して公平な扱いでは無いはず(最近は、往々にして発生しているけれど)。しかも今回の事故にしても、別に話題になっているオスプレイ単体の故障とかでは無く、訓練中のトラブルによる事故なわけで、しかもちゃんと被害が少ないように市街地に向かわず海上を移動して、最終的には海上に不時着し怪我人も出たけれどちゃんと全員が生存帰還している。ダメージコントロールとしては、ほぼ満点の出来じゃ無かったのだろうか。仮に今回の事故が問題だというのであれば、少し前に発生した調布飛行場の墜落事故は、あの後一時期飛行停止になったけれど、今でも調布飛行場は利用されて飛行機も飛んでいるわけで、どちらがリスクを抱えているのか。

さらに報道では「不時着」と「墜落」という二つの言葉が入り交じっているけれど、ヘリモードではなく飛行機モードで飛行していて海上に着水して生還しているわけだから、あれは「不時着」でしょう。機体がバラバラになっているから「墜落」「大破」と言うのは無理があると思う。「墜落」ならば、最後までコントロールされていないはずで、もっと悲惨な状況になっただろうから。写真だけ見ると、機体が飛散しているように見えるけれど、多分不弱直後に撮影されたと思われる、沖合から撮影した写真では、ちゃんと胴体と主翼も残っていてT字型に映っていたので、その後潮流の力で主翼左側が移動したんでしょう。その後の様子から「墜落」というのは正しくないでしょう。また「大破」というけれど、それは飛行機が落ちた後の状況を言う言葉であって、「不時着・墜落」という事象の結果とは異なる表現。沖縄県知事はこれ幸いと過激な言葉を使って感情を煽るような行為をしているけれど、逆に今回の事故から、やはり空港は海側にあるべきで、だから早く移設しましょうと言う話にも繋がると思うけれど、でもやっぱり感情論の声の方が大きくなるんでしょうね。なんせ、地元紙があれだから。

地元の感情や、それ以外の要素が複雑に絡み合っているのが、今の沖縄の基地問題だと思うけれど、結局一番優先されるべきは「県民の安全」のはず。それは、今回の事故でも、誰も県民に被害が出ていないのに「謝罪しろ」と言うくらいだから、最優先のはず。それならば、まずは今できることから進めて、危険のリスクを可能な限り最少化していくのが政治の役目じゃ無いだろうか。勿論、それは最終的なゴールである基地ゼロには直ぐには繋がらないだろうけど、それを臨んでリスク大の状態であと何年もいるよりも、リスク小にしていきながら、最終ゴールを目指す方がよほどメリットもあるし、実現可能性も高い気がする。今のままでは、冗談では無く、沖縄から米軍基地が無くなる時は、それは沖縄が日本では無くなったとき、しか無いような気がする。それを沖縄が臨むなら仕方ないと思うけれど、それはほとんどの県民の総意では無いと思うんですけどね。本当なら、そういう県民の思いも報道史して、可能な方法を模索する為の情報提供がメディアの役目だと思うのに、結局は棚ぼたを狙ってそれしか伝えないから、回りは直ぐにでもぼた餅が落ちてくるつもりでいるけれど、結局は伝えているメディアは出来るだけそれを引き延ばして注目を集めているだけの気がする。

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