2015年9月2日

画像検索

オリンピックロゴの話は、白紙撤回と言う事で取りあえず一段落付いた感じですが、今回気になったのは元ネタにされたと思われる画像情報をよくも広大なネットで見つけては指摘してきたな、ということ。「検索」という行為は、Yahoo登場以来、Googleの台頭も有り、今では普通のことになってきましたけれど、それってテキスト情報が中心。勿論「日の丸」とか「富士山」とか検索ワードを入れれば、そこから類推される画像情報も表示されますけれど、今回の様に色々な種類の、しかも言葉で特定するのは難しいような画像情報をどうやって調べるのだろうか。

そっちの分野は専門家では無いけれど、単なるパターンマッチングだけでは無理だろうと思うんですよね。例えば構成要素のサイズや配置を変えても「似ている」と感じることもあるだろうし、その逆の場合あるだろうし。さらには、そこに色の要素が加われば、また違った印象も生まれるだろうし。

今回のオリンピックエンブレムの件も、最初のベルギーのロゴと比較した時には、私個人としては「構成要素は似ているけれど、これを類似というのはどうだろうか。でも、ベルギーの『TとL』の組合せで右下に三角の要素があるのは分かるけれど、何で東京に同じ場所に同じような要素があるのか」が不思議でした。後に、ロゴの策定功程が明らかにされたときに、元々のアイデアには右下の三角は無かったこと、その為オリジナルデザインに類似した物があったため、後から追加した様な説明がありましたが、それが逆に商標登録されていなかったベルギーのロゴに似てしまったと言う事らしい。で、今回私がアウトだと思うのは、その修正される前のロゴが、ベルギーの後に明らかになった、ヤン・チヒョルト(Jan Tschichold)氏の2013年の展覧会でのポスターで使用されたロゴとそっくりだったこと。

佐野氏本人もこの展覧会に行っていたという情報もあるけれど、仮に本人が行っていなくても、2年ほど前に銀座で開かれたしかもタイポグラフィーの大物の展覧会で使用された物との類似性となると、ベルギーのロゴとの類似性以上に問題でしょうね。展覧会に行かなくても、デザイン関係の情報紙やネットなどで接する機会は、同業者として密にあっただろうし。其れ以前にも、ベルギーのロゴとの類似性指摘から、佐野氏の過去の作品に関しても類似性を指摘するいろいろな画像が発掘されて指摘されてきました。その中には、確かにパクリと言われても仕方の無いものもあったし、それはちょっと難癖だろうという物もありました。個人的には、トヨタの「REBORN」の赤いリボンのロゴですけど、あれを最初に見たときに思わず思ったのが「レッドリボン軍じゃないか」ということ。そしたら何年か後の今回指摘されてなるほどと思ったんですが、ただあのREBORNの赤いリボンも個人的には似ているけれど、盗作と言うまではどうだろうと思っています。

それも含めて指摘されて居る類似作品のうち、私が「これはダメだろう」と思うものは1割2割くらいかな。残りは、言われてみれば似ているけれど「盗作」と言うまではどうだろうという感じ。それでも、ヤン・チヒョルト氏の件は流石に「アウト」だと感じるんですよね。そう言う意味で、彼が本当に模倣したのかどうかは不明だけれど、オリンピックという大きな舞台で使用されることを考えると、その背景はクリーンであるべきだと思うし、その部分の責任だけ考えても取り下げるのは妥当では無いかと思います。もう少し早く判断するべきだったと思うけれど、ここまで過去の作品に対しての批判が盛り上がるとは考えなかったんでしょうね。

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