過疎地域に、自治体がローソンを開店するという記事。以前別のコンビニチェーンに断られたと言うことが書かれており、それだけビジネス的には厳しい環境なんだろうけど、でも今後はこの手の過疎地域あるいは限界集落みたいな地域が人口減少と都市部への人口集中にともない増加していくだろうから、個人的には興味深いトライアルに思えます。
以前から思っているんですが、宅配サービスってこれからの社会でキーとなる部分だと思うんですよね。まだ車や自転車で移動できるうちは何とかなっても、そのうち動けなくなるのは確実なわけで、それ以前にも近くにあったお店が無くなる、自分では運べない思い買い物が出来なくなる、なんて言うことは十分考えられますし。自宅近くには県下で最大のショッピングモールが数年前に開店していて、ほとんどの買い物がここで済む便利な状態にはなったけれど、それでもこのショッピングセンターが何年先まであるか分からないし、今なら車で5分、徒歩で10分の距離も苦にならないけれど、あと20年、30年過ぎたらその距離すら障害になるかもしれないし。
最近、たまたま文庫本化された「プラチナタウン」(著 楡周平)という本を買って読んだんですが、まさにこの新聞記事のような地域をテーマにした小説。作者の楡氏の作品は、デビュー作の「Cの福音」以来、ファンになっている作者さんで、その期待を裏切らない面白いテーマと内容の話でした。負の遺産である、箱物行政の負債をうまく活用して、個人単位では負担が大きい老人介護を、逆に集約することで周りのサポート体制も含めて効率化して、一つのビジネス、過疎地対策にまでするというのは、フィクションの小説とはいえちょっとした説得力、現実味のある話です。
ただ、よく考えると、この小説の話はローソンとは逆の方向なんですよね。言ってみれば、一つ一つでは効率が悪い、生活が成り立たない地域をまとめて一つにして、それなりにシステムが機能する規模と立地にもってくることですから。日本人の場合、どうしても「先祖伝来の土地」にこだわるので、実際には難しいと思うんですよね。個人的には、マイクロバスみたいな規模で、移動販売みたいなシステムを回せれば、若しかしたらビジネスチャンスが生まれるかもしれないかなと思うけれど、サイズ的に食料品とか消耗品に限られるだろうし。
「老後ビジネス」「介護ビジネス」と聞くと、ちょっと弱者を食い物にするような印象を受けてしまうけれど、でもいざ自噴がその領域になりつつあると、切実にそれなりのコストでより快適な生活をしたいという欲求はどんどん大きくなるわけで、ちょっと真剣に考えてみないといけないテーマだと痛感します。
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