2025年9月18日

属人化と専門化

佐々木俊尚氏の引用から、企業活動で良く問題となる「属人化」に関してのスレッド。私はずっと開発部門に居たので、これは中々悩ましい問題何ですよね。

自分が社会人になった頃は、まだバブル崩壊前の時期だったので、兎に角「余裕」だけはありました。製品開発にしても、その製品の計画スタートから実際に出荷するまでのスパンは2年以上有ったし、そのうちの最初の半年くらいは「コンセプト」設定期間で、ここで消える製品計画も一杯ありました。で、その開発活動で中心的な役割をしていたエンジニアは、その製品出荷後はその製品の出荷後サポートの部門にだいたいは移動して、その製品の最後(EOL (End of Life))迄見届け、その後次の製品開発チームへ入るみたいな、非常に悠長なタイムスパンでした。それって製品開発の発想から開発製造、出荷後サポートと一通りの経験をするエンジニアがそれなりの数生まれて、次の繋がっていたわけです。

それがバブル崩壊前後くらいから、どんどんコストカット効率化が言われると、「専門化」みたいな役割を決めて、複数の製品を跨いで共通公的な作業はその人に集約させて効率化したり問題共有することで、開発スピードのアップも実現出来るように。その頃から「PM (Project Management)」と呼ばれる、そういう部分毎の専門家を束ねるようなチームリーダーみたいなポジションが重要視されるようになり、それってその頃やはり流行りだしたOEM/ODMによる開発製造委託の開発スタイルにもマッチするわけですよね。ただここで問題になったのは、そういうオフショア開発みたいなスタイルにすることで、本体側の人員も効率化する必要が有り、昔の職人的な技術力知識を持ったエンジニアも、リソースだとかスケジュール管理が中心のPM職へと移動。確かに製品は効率良く出荷されるようになったけれど、問題なのは技術蓄積や知識蓄積がどんどん枯渇していき、OEM/ODMがブラックボックス化していったことで、これってある意味「属人化」みたいな物だと思います。

自分が所属していた開発部門が、今にして思えば正しかったのは、それなりの犠牲を図りつつも時組織内の技術優位性を無くさないように核技術(Core Competency) はしっかり維持して成長させることを継続したこと。これは組織防衛という側面もあったけれど、それよりも大きかったのは、OEM/ODMへ丸投げせずに彼らに対して技術的不備だったり問題点をバンバン指摘して製品品質を向上させる事が出来たこと。「属人化」に関しては問題は色々あると思うけれど、最大の防衛策はその属人化した部分も含めて対応可能な知識や技術を決して喪失しない・させないことだと今でも信じています。ただ、そう言う属人化している部分は、問題が表面化しない事も有り、通常は目立たないんですよね。で、担当者が退職したとか、何かの理由でその部分が表面化すると、「なんだこれ」みたいな話が雨後の竹の子のように沸いてきて、その後を引き継ぐ人が涙で枕を濡らす日々が続くんですよね(笑)。引用スレッドでは、属人化を防ぐためには同等の戦力投入が必要と書かれているけれど、それと共にそれを上まわる上位者の存在があるかどうかも重要だと思う。

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