2025年6月17日

外資農業

佐々木俊尚氏が引用していた、中国や再生産をする「外国人農家」の話題。 ここで紹介されている農家の范継軍さんって方、以前何かのテレビ番組で紹介されていた記憶があります。ずらっと並ぶビニールハウスの光景も見覚えがあるし、農園内の中国野菜レストランも記憶にあるなぁ。その時には、「上手いところに目を付けた」と思いましたが、考えてみたら日本人でも珍しい海外の食材を国内生産して、イタリアンとかフレンチのレストランに卸している農家の話題も結構効くから、発想自体はそんなに珍しく無い。でも、多分生産量と種類の多さと、後多分中国人ネットワークの強さが、このビジネスモデルの肝なのかなと思います。

従業員を20人位雇用していると記事には書かれていますが、確かこの方前職のIT技術者としての知識と経験を生かして、ビニールハウスの室温調整・湿度調整・日照管理等コンピュータ化して効率化を進めていたし、受発注管理も自分でシステム組んでやっていたんじゃ無いかなぁ。そういう技術を農業に導入して、経営の効率化をしているグループは他にもあると思うけれど、日本人がやりがちな洗練されたスタイルに拘らず、自分なりに使いやすければ、効果があれば良いみたいな「力業」的な進め方が、案外合っているのかもしれない。そういう所は中国的というか大陸的というか、一度動き出すと後は慣性でどんどん進んでいく典型のような気がします。

水田を畑に変えるのは、多分土を入れてかさ上げしたり大変だと思うけれど、稲作で大規模化できない場合には、多品種高付加価値製品の少量製品なんかが可能ならば、比較的やりやすい気もします。初期投資が大変そうだけれど、それなりの強度のビニールハウスが出来れば、中では比較的自由に色々な食物を栽培できるだろうし、湿度温度日照管理も出来るから、効率化もかなり期待出来そう。ただ、そこで何を造るかというのは難しいし厳しそうですよね。最近だと、東南アジアの食べ物が結構流行っているから、そういう地域の野菜栽培というのは一つ浮かぶけれど、やはり品質と生産量がどれだけ確保出来て、既存ライバルに対抗できるか格付けが出来るかは難しいだろうなぁ。

高付加価値食材の生産にシフトして、経営的に軌道に乗ったとして、どんどん農業経営者がその方向に走っては、それまであった競争力も減退するし、それによって例えばお米とか野菜とか日常必要な食品の生産量が減ってしまっては本末転倒。多分大手の農業団体が、そういう状況になるとどんどん中小の経営や土地を吸収して、一気に大規模経営にシフトして効率化をして、その残った市場を獲得するんでしょうね。過去色々な商品で似たような歴史を見てきた気がする。そんな中で、利に聡い国民性の中国、韓国、あるいはアジア系の人達は、そういう隙間から存在感を増していく気がします。それを今度は日本人にとって、利と出来るような方策なり政策を考えていかないとね。

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