2025年5月2日

Worldwide Business

デイリー新潮に掲載された、「コメの関税をゼロにせよ」という、蓮根農家の方による「日本農業の勝ち筋」論。筆者は、1本5,000円(!!!!)もする超高級蓮根を栽培して、それを世界各国の高級和食店へ卸すことで、農業ビジネスの一つの成功事例を創った人らしい。私は農業に関しても販売に関しても詳しいわけではないけれど、書かれていることには凄く納得出来るし、多分日本の農業も含めた色々なビジネスが今後生き残っていくための、ある種のテンプレート的な考え方だと思う。つまり、輸出向けには高価格高付加価値商品を製造して、高付加価値や希少性を武器に高利益商品中心に展開する。一方で国内向けには、出来るだけ大規模化して効率化低価格化を目指して、薄利多売でも成立するような製造・販売の仕組みにするのが、今の日本で必要な事だと思います。

中国が「世界の製造工場」と言われてその地位を長いこと維持していたけれど、その最大の武器は低コストで大量に確保出来る「人的リソース」。それにより、大量生産を低コストで受徴して世界の製造業を席巻したのだけれど、その中国でも賃金は上がるし、彼らの産業・工業にしてもレベルアップしていかないと、いつまでも「製造だけ」というわけにはいかない。そうなると、物によっては中国で製造するメリットも減ってくるわけで、円安という理由もあるけれど日本に回帰してくるのも仕方ない気がします。ただ、空洞化して日本の技術力製造力も以前よりは力が落ちているだろうし、それを提供出来る人材も減っているだろうから、そこをどう手当てしていくのかが一番の問題だと思います。まぁ、一言で言えば「色々あったけれど、今日本に巡りつつあるチャンスをどう掴むか」と言ってもいいのでは。

筆者の方は「蓮根」という、日本独自の食材でかつブームの和食の代表的なものでもあり、さらに輸送する場合でも日持ちする食材という、いろいろな「好都合」が重なった物という「運」もあったように思います。幾ら和食で必須だからと言って、例えば鮮度が命のような「ネギ」なんかを輸出しようとしたら、輸送は空輸でコストも掛かるし価格も上げられない。日本のフルーツが今は海外で有名だし人気だけれど、あれだって鮮度を落とさない工夫と高価格設定が可能だから成立している気がします。将来的には、鮮魚類の活け締め技術が進歩して輸出が可能になったように、生鮮野菜でも鮮度を維持したまま一週間位は平気で輸送できる時代になれば話は別ですけど、今はやはり高付加価値作物で日持ちがするようなものが狙い目でしょうね、例えば、日本のサツマイモは外国人にも人気だから、サツマイモ、例えば安納芋とか紫芋みたいな国内でも付加価値の高いものを輸出用に力を入れるのはアリじゃないかなぁ。あと、生鮮野菜でも、例えば大根とか白菜とか雪の中に一冬置いて甘味を増すようなものがありますが、わざと輸送コンテナーでそういう状況を作り出して、船便で一月位かけて輸送することで野菜を熟成させるような仕組みも可能じゃないかなぁ。

海外向け製品で利益を得るのは良いけれど、肝心な国内向け商品はどうするのかと言う話も並行して進めないと、国内農業は壊滅してしまうので、これも重要な話。例えば輸出向け農作物を作る会社が、国内向け作物も育成して、そこに輸出分の利益を補填したらその分税金を優遇することで、国内作物の価格を下げるとか出来ないだろうか。さらには、やはり国内の農業も大規模化や集約化をして、効率化を進めることをJA当たりが旗振りをして積極的に進めるとか。自分の周りもそうですが、農家はどんどん高齢化していて、休耕田とか休耕畑は毎年増えている気がします。困るのは、基本農作物は1年に一回の収穫なので、お米のように「今足りないから来月から増やせ」みたいな事は出来ない。また、大規模化集約化していくと、どうしても産地が限定されてくると思うけれど、そうなると自然災害等の影響で最悪全滅してしまう可能性も。日本も南北に長い国土があるので、全国に分散しつつ効率化する考えが必要でしょうね。日本には、クボタとかイセキとかヤンマーとか世界的にも有名な農機具メーカーがいるんだから、こういう所で機械化の研究を進めて、少ない人員で大量生産できるような仕組みを作り、国内の過疎地域を一大農場に変えることで、食糧問題と過疎問題を同時に解決するくらいの夢とプランが欲しいなぁ。

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