モーター駆動で動く電気自動車(BEV)は、現在の内燃エンジン車(ハイブリッドやプラグインハイブリッドも含む)と比較して、充電関係の機能で後れを取っているんだけれど、その弱点も後数年位にはより大容量の搭載バッテリーと、それを超急速充電出来る仕様・設備の登場で、次のステージに進むことは多分明らか。ただそれだけでは、現在の車とやっと同じ土俵に登ったくらいで、大きな逆転に繋げるためには、例えば自動運転とか「次の新機能」が必要だと思うんですよね。で、個人的には、これが多分BEVのコア技術になるのではと以前から思っている「インホイールモーター」。その軽自動車にも搭載可能な、空冷式の12インチインホイールモーターの誕生。
現在のBEVは、基本的には前輪(AWDは後輪にも)にモーターがギアボックス経由で接続していて、その仕組みというか構造はガソリン車と同じ。ハイブリッドなどは、駆動系は共通していて、ドライブシャフトを回す回転体として、ガソリンエンジンとモーターが切り替えられて動いていると思います。だから、加速性とか高速性能とか、細かな部分では違いはあるんだろうけど、基本的な構造はBEVもガソリン車も同じ。ということは、運動性能とかもそんなに変わらないわけですよね。少なくとも前輪の2つのタイヤは常に同じように動作しないといけないし、前輪と後輪はそれぞれ異なる動作は可能だけれど、左右のタイヤはペアで同様に動作しか出来ない。だから、特に曲がるときとか車庫入れの時等はそれなりに経験と知識が必要だし、移動方向に関しても360度常に自由に移動出来るわけではない。
インホールモーターになると、それぞれのタイヤが独立して機能出来るようになるので、例えばカニ歩きみたいな横向き走行も可能だし、その場で回転だって可能(に、なるはず)。これなどは、運転に慣れていない人が困るような駐車時の駆動として凄く利便性が生まれるはずなんですよね。そして、そういう自由度の大きな動きが出来るようになると、自動運転の時にも操作性が高まるわけで、やはり将来的にはこの技術は一番重要じゃ無いかと言う気がします。課題としては、あのタイヤホイール内部にモーターも含めて組み込むために、色々な技術的制約が生まれることと、あと独立して動作する4つのタイヤ(=モーター)を、精確に同期して動かせないと、直進性能が犠牲になりそうな気がします。あと、BEVの場合はブレーキ動作に関しては単にモーターを止めるだけで実現していて、現在のようなブレーキキャリパーなんてないんだろうか。確かにモーターが動かなければ車輪はロックされるんだろうけど、物理的に止め無いと急停止の時とか駐車時の時とか困るんじゃないだろうか。そうなると、ホイール部分の余裕も今以上に必要になると思うなぁ。
近年、中国メーカーのBEVが世界を席巻する、日本の自動車メーカーが後れを取ったという報道を耳にして、確かに危機感は感じないといけないと思うけれど、今の所充電インフラが圧倒的に少ない状況では、どのメーカーでも中国国内以外での販売は難しいと思うなぁ。欧州等は、一時期ガソリン車全廃とか言ったからまだ充電インフラもそれなりにあるんだろうけど、日本の場合はまだまだ圧倒的に少ないですからね。今後はいろいろと増設されるんだろうけど、そのためには今の一回当たり30分も掛かる充電時間を5分以下にする必要があるし、走行可能距離も真夏のエアコンを効かせた状態でも、一回の充電で余裕で300kmとか400km位は走ってほしいし。というか、仮に今のガソリンエンジン車がすべてBEVになったら、確か今の日本の発電量は倍位必要になるという試算になるはずで、となると発電設備だって現実的には原子力発電所をもっと増設しないと間に合わない。単に、車の中の機能が革新的な物になっても、そのエコシステム全体が最適化されないとブームは生まれないだろうなぁ。先日BYD浜松店の前を通る機会がありました。結構大きなショールームだったけれど、どれくらい浜松では売れているんだろうか。浜松では、テスラは時々走っているのを見かけますが、流石にBYDはまだ見たことがありません。国内では、特に浜松のような地方では厳しいと思うなぁ。
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