ITmediaの記事から、最近のお握りブームについて。私は利用したことはないのですが、記事の最初に登場する「おにぎり ぼんご」は、テレビのグルメ特集などにも何度か登場していて、一番有名なお店の一つでしょうね。特徴的なのは、その場で食べるお握りなので、ふわっと握ってあることだと思います。 握り立ての温かいお握りも美味しいけれど、やはり自分くらいの年代だと「お握り」はお弁当の代名詞みたいな物だし、かつ元運動部でもあるからしっかりと多めのご飯を握り固めたような「お握り」が一番なじみがあります。
「ぼんご」のお握りは、握りたてということと同時に、贅沢で豪華な「具」というのも特徴で、この二つの要素が最近のお握りの傾向でもあるんでしょうね。やはり昔話に戻ると(笑)、自分たちの子供時代のお握りの具と言えば、まずは自宅で漬けた「梅干し」。二番目は、鰹節引いてそこに醤油を垂らして混ぜた「おかか」。後は、「佃煮の昆布」くらいだったなぁ。「焼き鮭」なんて、コンビニでお握りが発売されるまで食べたことが無かったと思う。最近は、肉から魚からいろいろな具材が販売されているけれど、昔の記憶にあるのはこの三種類と、後は「丸美屋のふりかけ」を混ぜたおむすび位。さらに「お稲荷さん」か。「塩むすび」も、私は成人して飲み会の最後の締めで食べたのが初めてだったので、昔の「お握り体験」は結構限定的でした。今でこそ「お握り」も一つの料理として形や具材の組み合わせが広がっているけれど、昔は朝炊いて余ったご飯を無駄にしないように、塩で常温保存できるようにして、おかずとしてはすぐにその場で準備して中に入れられる、梅干しとかおかかとか昆布の佃煮とか身近で手軽な物を利用した保存食だったからなのかなと思います。そうそう、昔は具材の量もそんなに多くなかったから、拳くらいのサイズのお握りでも、最初の一口二口では具材に届かず、三口四口あたりでやっとお米に具材の味が混ざり合って「あぁ、これは梅干し/おかか/昆布のお握り」と分かるのが普通だった気がします。今では、具材の大きさ(量)が差別化にもなっているから、外にはみ出すのもアリですしね。
本来は自宅で準備する簡易的なその日一日用の保存食みたいな存在だった「お握り」が、食事として確立したのはやはりコンビニのお握りの存在が大きかったと思います。あの競争が、どんどんお握りの具材を広げていき、さらに「チャーハンお握り」とか、これまでには無かったようなスタイルも登場したし。個人的に一番大きな貢献は、「1-2-3」で海苔が巻けるパッケージング技術が、お握りをきっかけにいろいろな食品の個包装に広がったことじゃないかと思っています。だからコンビニの「お握り革命」は、「パッケージング革命」でもあると思うんですよね。で、コンビニで市民権を得たお握りは、それまでの菓子パンとか惣菜パンと同等に扱われるようになり、それが専門店やチェーン店が増えてきた原因だと思います。確か昔は1個100円以下だったと思うので価格もお手頃だし種類も豊富。どこでも直ぐに食べられる手軽さもありますし。日本式ファストフードであった「お寿司」同様、高級化路線のお店もあれば、手軽さを追求するお店もあるし、食べ歩きも出来るし、コース料理の最後に出されても可笑しくない。
「お握り」自体も、握らない「おにぎらず」なんていう進化形も登場していて、このあたりは一度凝り出すとどんどん変態的に進化していく日本人の性格が良く出ていると感じます。パンの世界での、あんパンとかカレーパンとかメロンパンみたいなシンボル的な「○○お握り」みたいなものが、これからもいろいろ登場してくるんでしょうね。インバウンドにも人気の食事になってきているし、これからは「お握り」ならぬ「Onigiri」がブームになるのかも。そう言えば、昔は「海苔」は受け付けなかった海外の人も、最近ではそういう話を聞かなくなりました。昔は生卵がそんな存在だったけれど、日本に来てTKGとかすき焼きとかを知ってしまうと抵抗感がなくなるように、海苔に関してもインバウンド増加でどんどん敷居が下がってきているんだろうなぁ。ただ最近は海苔の生産量も下がっているし、肝心なお米も高騰しているし、庶民のというか家庭の普通の食事だった「お握り」も、いつか鰻みたいな「高級食品」になる時代も、そう遠くないかも。
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