ちょっと見出し詐欺というか、誤解を招く見出しだなぁと言うのが第一印象のPRESIDENT Onlineの記事。インバウンド需用で活況を取り戻しつつある各地観光地ですが、上手くその時流に乗り切れていない観光地が多いという内容だと思うんですが、その秘訣が「2000円→1.8万円に値上げ」だと誤解させるような見出し。まぁ記事を読めば直ぐに分かるんですが、本来は高価な商品を作る藍染めとか織物の技術を安く観光客に体験して貰いたいから、ハンカチとかコースターとかに集約して価格もお手頃にしてしまう。それって一見お得なような感じに見えるけれど、結果的にありきたりな物をそれなりのお値段で体験購入するだけの話になってしまい、旅の記念という意味合いが薄れてしまう。そうでは無くて、もっと基本的な部分から手間暇掛けたり、一点物を作ると言う「一期一会の体験」が観光客にも響くし、それによる付加価値を上げても納得してくれるという、ある意味Win-Winの関係が作れるという話。
ここで重要なのは、単に価格を上げるだけでは無く、そこからの成果物に「唯一性」みたいな付加価値を付け、かつ元の商品とは異なるけれど、その利用者に対してはプライスレスなものにすることで、実は価格アップというマイナス点が消えてプラスになっていることでしょうか。思いだしたのは、日本土産として人気のある「着物」。日本人でも自分で気付けが出来る人が激減しているのに、どうするんだろうと思ったら、彼らはガウンとして利用しているんですよね。着物の場合ワンサイズで丈を調整するから長めに出来ていて、それが高身長の人が多い海外で有利になっている気がします。もう一つは「着物」という美術品として額装したりして展示していること。本来の着物の目的からすると邪道なんだろうけど、日本でだって高額な着物は「衣類」と言うよりは「芸術品」「美術品」として扱われることも多いことを考えると、あながち間違いでもない。
そう言うものとオーバーラップして考えると、ハンカチやコースターのようなありきたりの物では無いものを、自分が時間を掛けて作成して、それが唯一無二の物になるという「体験」という事が一番重要だと分かります。大雑把に言えば観光旅行なんかまさにそうですよね。訪問する観光地は同じでも、時期が違ったり一人一人が感じる印象や記憶は異なるのと同じ。 ただ最近は事前にネットや動画で必要以上の情報が得られるので、昔ほどの感動はないのかもしれない。でも、自分が海外旅行(仕事&個人)を始めた40年近く前は、情報としては先輩の経験談と「地球の歩き方」しか無いような時代でしたからね。当時はまだインターネットは黎明期で、BBSで情報を集めることは出来たけれど、それも凄く限定的でしたから。とにかく手探り状態で出かけて、言質での毎日はまさに「サバイバル」みたいな物。それ故に、あの当時の経験や幸いにも何となく身につけた英語能力に今は助けられているし、自分の大きな背景になっていることにはすごく感謝しています。
ただ問題点としては、インバウンド向けに全振りするならよいけれど、それをしてしまうと国内の観光客に対しての訴求力がなくなってしまうことにもなります。そうすると、お手軽版の体験コースと、高価格高付加価値の贅沢体験コースの二種類を用意しないといけなくなります。でも、例えばソフトウェアのI/Fでも、簡易版と詳細版二種類用意することも普通にあるので、ビジネスモデルもそういう「二刀流」がこれからは必須なのかも。まぁ、もう少しまとめていえば、どのようにしたらその人が満足してもらえる「体験価値」を提供出来るかということなんでしょうね。
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