2025年2月13日

RAW Data

佐々木俊尚氏が紹介している、先月のフジテレビの10.5時間にも及ぶリアルタイムライブ中継会見に関しての、元業界関係者のコラム。会見や中継に関しては、色々批判や課題や問題点はあったと思うけれど、個人的にこのフジテレビの10.5時間会見が画期的だったと思うのは、多分メディア史上初めて最初から最後まで全てのデータ(映像)を無加工で流したことじゃないかと思うんですよね。だから、この会見に関しての記事に関しては、誰でも検証すべき「原典」にアクセスする事が出来、それを元に、各社の記事なり発言を検証出来るような形になったことが、多分史上初めてじゃ無いだろうか。

これまでも、例えば何かの会見の様子を後からフルビデオで動画配信することはありましたが、それでも殆どの場合は何らかの加工が施されていたり、途中冗長なところは削除されたりとかされていて「生データ(RAW Data)」とは言えない。例えば、話している内容に関してテロップを付けるにしても、その文章自体が整理されて発言とは異なる言葉が使われてたり、やはり文字にした場合には、話しているときの表情やニュアンスが失われてしまい受け取る側の印象も変わってきます。また、オリジナルの音声データでは無く、そのテロップ部分だけが切り貼りされて異なる意図に再編集されることもあるわけで、本来の意味を強調するつもりのテロップにしても、実はオリジナル映像に対してのノイズでしか無いんですよね。

今回の会見では、フジテレビ側の発言に対しての批判よりも、傍若無人な「質問」をぶつける一部メディア関係者に足しての批判が大きいのも、やはり実際にそういう場面をリアルタイムで無加工で視聴したひとが多くいたことが理由だと思うんですね。例えば東京新聞の望月記者は、過去菅官房長官時代の質問(というか、自分の意見開陳)の様子は何度もネット等で流されていたけれど、あれだって彼女が質問している部分だけ切り出せば、何となく厳しく追及しているように見えます。でも、その前後なりその後の様子等「全て」を見てみたら、いかに自分勝手な発言というか、単なる目立ちたがり屋でしか無い存在だとみんな理解するんじゃ無いだろうか。そう言う意味では、今回の会見の是非や意味は兎も角、日頃自分達が目にする新聞記事やメディアの報道という、極々限られた範囲に収斂された「情報」が、どれだけ大きくオリジナルの情報から変質しているものなのか体感できたことは重要な事実じゃないかと思います。

ただ、だからと言って全ての会見なりを全てリアルタイムで提供する事は事実上無理だろうし、毎回10時間を越える会見なんて、本当は勘弁して欲しい。嘘か本当か分からないけれど、この手の会見をする場合にはホテルのホールなどを予約するのが一番良い対策らしい。つまり予約時間が決まっているから、その時間が来る前に終了しなくてはならず、企業側はそれを理由に時間を区切ることができると言うシナリオらしい。それはそれで、メディア側の質の低さも表しているものだと思うけれど、時間厳守と不規則発言を許さないという事くらいは、両者共通の認識と最低限のルールとして設定するべきだと思うなぁ。また、発言者の指定にしても、ランダムにアプリかなんかで指定するとか、それこそビンゴゲームのように入口で番号札を渡して、それを抽選して何人までと限定するとか。今回の会見の教訓の一つに、同じような質問を何度も別々の会社が繰り返すと言う事があるわけで、それは一般の会見でも見られること。多分、自社の記者なり担当者がその質問をしているという音声なり映像が必要だから、同じような質問を延々と繰り返すのだろうけど、そう言う無駄なことはもう止めたらどうだろうか。反省するべきは、フジテレビだけで無く、あの会見に参加していたメディア全ても同類と言っても良いような気がする。そして、何だかんだ言っても、やっぱり必要なのは「生データ(RAW Data)」だよなぁと再認識しました(笑)。 

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