2024年8月18日

無意識の捏造

Googleの新しいPixel 9が発表されて、個別に撮影した写真を一つに合成して、恰も同時に纏まって撮影したように加工する機能が話題になっているけれど、Googleはその前の「消しゴムマジック」とか、写真加工機能が好きなんだろうか。 確かに、写真撮影をしたときに100%納得出来る写真を撮れるのは、100回に1回どころか、1万回に1回も有るかどうか位、実際に撮影された写真をみると「ここをこうしたい」という部分ばかり目立つ気がします。

そういう個人の不満を解消する、言ってみれば「必要な機能」とも言えるんですが、そうやって加工された写真がネットの中に残されると、それが「事実」として後世の人は評価して「あの人は、あの日あの時にあの場所にいたんだ」という、全く嘘の情報が伝わってしまうかもしれない。その写真データのメタデータとかに「これはオリジナル××の写真と△△の写真を、これこれこういう風に合成したもの」とかいう説明が含まれていれば良いけれど、そんなことは先ず無いだろうし。「個人の写真にそこまで目くじら立てなくても」といも言われそうだけれど、今の時代そう言う膨大な個人が収集した情報が、例えば交通事故だとか災害時の貴重な情報として後から参照されるんですよね。

最近では、例えばAI技術を活用して昔のモノクロ写真や映画を、着色してカラー化することが結構簡単にできるようになりましたが、例えばそのAI技術での彩色ってどれだけ信用できるのだろうか。モノクロ映像の濃淡を類推してカラー化するわけだけれど、そこでやはり情報量としては落ちているわけだから、100%元の彩色には戻らないと思うんですよね。勿論、モノクロとカラーでは同じ映像でも受ける印象はかなり違うわけで、彩色された映像を見ると生き生きした印象を受けることも事実。ただ、私などはそれとは別に、元のモノクロの映像が含んでいた「凄み」みたいな物も何か希釈されて売れていくようにも感じるんですよね。それって、例えば当時の悲惨さとか苦しさ厳しさみたいなものを曖昧にしたりとか、やはり後世誤解するような「余計な情報」にならないだろうか。

「オリジナル」のデータと、それをこういう方法で加工しましたという「加工済みデータ」が、必ずペアで存在して参照出来るなら比較も出来るし、間違いにも気がつくでしょう。でも、多くの場合、特に個人の場合、一度加工してしまえばオリジナルデータは捨ててしまうだろうから、加工後のデータが「オリジナル」として一人歩きすることが殆どでは。そうなると、後から見たときに自分の記憶と違うとか、本来有り得ないことがその情報に含まれてしまい、検証したときに矛盾がこれまで以上に生まれてくるような気がします。しかも、今はどんどん書籍等が無くなりデジタルデータばかりだから、複製は簡単にできるけれど保存性は脆弱で、簡単に消えてしまうリスクもあります。そうなると、その加工品が消えた後に、それを模倣した物が「本家」として扱われる危険性もあるだろうし。実際絵画なんかでも「贋作」が一つの歴史になっているわけですから、デジタルデータの贋作なんかもっと簡単にできそう。で、そう言うものを基本に後世評価されて誤解や虚偽の内容が事実として扱われてしまう事例を私達は何度も見ているわけですよね。そういうリスクがどんどん増えている気がします。Googleは、それで良いのだろうか。それとも何か対策を考えているのだろうか。

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