2024年8月29日

20年の資産

NHKの国際ラジオ放送で、原稿にない翻訳をして問題となった中国籍の男性。既に出国をして中国に戻っているという話が出ているんですが、本当なのだろうか。聞こえてくる話では、東京大学の大学院を卒業して、幾つかの職業にも就いた経歴があり、すでに滞在20年以上とのこと。具体的な生活状態までは分からないけれど、20年も日本に住んでいたならば、物理的にも精神的にも、かなりの「資産」があると思うんですよね。そう言うものを、事件が発覚して数日で全て処分・清算して中国に戻る事なんて出来るのだろうか。

例えば、持ち家でなくて賃貸に済んでいたとしても、その中で使用していたであろう家電とか家財とか生活備品等を持ち帰ろうと思ったら、国際宅配とか手配しないと駄目だろうし、仮に売却するにしても数日で買い手が直ぐに決まるとは思えない。また、生活しているのだから、銀行口座とかクレジットアカウントとか、そう言うものだって必要だろうし。そう言う物理的な柵以外でも、国内で知り合いとか友人関係もあるだろうし、当然派遣社員として契約していた会社との契約もあるだろう。単純に、自分が国内で引っ越しするだけでも、色々な手続きで大変でとても数日程度で全て完了出来るとは思えないんですよね。それが20年間も色々な柵があるのに、多分もう二本には戻らない覚悟で中国に戻るとなると、相当以前から準備していたか、そう言うものを丸々諦めるくらいの覚悟が無いと、こんなに素早く戻る事は出来ない気がする。

今伝えられている情報では、長年仕事をしているのにNHKの待遇改善がされないことに不満をつのらせての行動だったと伝えられているけれど、これも変な話で、彼は契約自体は関連団体としていて、NHKには派遣される形で仕事をしていたんじゃないのだろうか。NHKが関連団体から推薦されて、彼との契約を直接していたならばまだ分かるけれど、NHK位の規模の大企業が個人と直接契約する事って珍しい気がするけどなぁ。一般的な派遣社員なら、NHKはその派遣会社と契約して、派遣会社がその要員と契約して仕事に出るわけだから、そうであれば彼が不満を向ける先は派遣会社になるはず。まぁ、仕事に対して不満が本当に今回の事件の理由ならば、それを登録している派遣会社なりNHKの担当者に伝えればよいだけで、それが通じないのであれば、転職するとかの方法もあったはず。それなのに、その20年間の蓄積の結果が放送で自分の主張というか非難するだけというのは、空しくないのだろうか。

この中国籍男性は、数年前から香港フェニックステレビにもレポーター等として20数回出演していた形跡もあり、その場合は副業としてなのか兼業としてなのか分からないけれど、NHKとの契約違反にもなるのかな。今回は中国製男性の行為という事で問題になっているけれど、別に日本人であっても他国にシンパシーを感じている人ならば同じような行動をしてもおかしくない。かといって、採用時に相手の思想信条まで調べてそれを条件として仕事をさせることも問題。まぁ契約時に業務内容とその範囲を明確化して、例えば「日本語を中国語に翻訳する場合、原文に含まれない意味を付加する場合は、原文の意図を尊重して必要最小限にすること」みたいな事まで定義しないといけないのかなあ。陰謀論が好きなネット上では、妄想空想も含めていろいろな意見が出ているけれど、これが大学出たての愛国心に燃える20代くらいの留学生が起こしたなら分かるけれど、日本の大学院を卒業をして22年も国内で仕事をしているのに、正直この程度のつまらない行動でその鬱憤を晴らしたと思っているとしたら、随分と軽い行動だなと感じます。その割には20年の柵なんか何のその、そんなものを捨て置いてサッサと帰国するフットワークの軽さというか切替の素早さは、いかにも大陸的な中国社会のDNAっぽい気もしますね。いずれにしても、この人の行為一つで、これまで長年日本で信用信頼を積み重ねてきた外国籍・外国出身の真面目な人達が、いろいろな意味で迷惑を被るような状態が生まれることは事実でしょうね。

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