2024年6月12日

日本的ライドシェア

日本でも一部限定的ながらも始まった「ライドシェア」。ただ、タクシー業界も含めて反対や抵抗も大きくて、アメリカとかそれ以外の地域で普及して居る"Ride Share"とはかなり毛色の違った「ライドシェア」になっています。個人的には、日本でも"Ride Share"が一般的になる事は賛成なのだけれど、ただ海外(自分の場合実際に利用経験のある、アメリカとかシンガポールが規準ですが)の方法をそのまま国内に持ち込むのはちょっと無理があるとも思っています。そこは国内用に幾つか変更も加えた後、今のタクシーを補完するものとして「日本的ライドシェア」みたいな形で定着してくれたら、それが理想的なんじゃ無いかと思っています。

アメリカでのRide Share (Uber/Lfty)は、私は比較的初期の頃にUberを利用した事があって、実はその時には「タクシーよりも利用方法が簡単で融通が利いて、しかも目的地指定や料金支払いまでワンストップでスマホで完結して、さらに車両もタクシーよりも綺麗」とかなり高評価でした。特にタクシー利用の場合は、流しのタクシーを捕まえるのも大変だし、呼び出して迎えに来て貰うのも英会話力の壁がある。それは相手に目的地を伝える時も同様。料金支払いもチップを加えてとか面倒だし、そう言う所謂"Pain Point"が全て解決出来るのがUberでした。それが、一般のアメリカ人利用者にも刺さって、あれだけブームになり普及したんだとおもいますね。あと、アメリカは基本車社会だから、どこの家にも車が何台も揃っていて、ドライバー供給にしても問題無いことも大きいと思います。最初は、副業という意味合いが大きかったけれど、そのうちにUber/Lfty両方の端末を運転席に設置して、かなり本格的にビジネスとして運転しているドライバーも増えてきていますから、そう言う意味ではアメリカでも意味合いが変わってきていると思います。

で、国内のタクシー利用に関して考えると、実はアメリカ人にとっての不満である、タクシーの質(ドライバーや使用車両)に関しては、国内のタクシーは問題無いと言って良いレベルだと思います。それ以外の目的地設定だったり、送迎にしても、まぁ国内だから日本語で通じると事も有るけれど、強いて言えば電話が繋がりにくいとか、そんなところじゃ無いだろうか。だから、国内のタクシー利用者が感じる"Pain Point"は、「利用したい時に配車が出来ない」という、タクシー供給量の問題なんじゃ無いかと思っています。そう言う意味で、日本版ライドシェアがまずはタクシー会社主導・運用でスタートしたことは、批判もあるだろうけど無難なところだと思います。でも、それではいつまでたってもアメリカのUber見たいな利用が出来ないんじゃ無いかと言われそうだけれど、多分日本ではアメリカのようなUberとかLftyというライドシェア会社主導で運営されるようなことは無いんじゃ無いかと思うなあ。可能性としては、例えばタクシー会社とUberが共同で運営会社を設立して、今のタクシー利用品質をUberにも担保させて行くような仕組みが落とし所では。今のUber/Lftyに関しては、基本アプリ経由での利用者の評価がドライバーを選別するようになっているけれど、実際に何年も何回も利用してみると、結構ドライバーの質や使用車両の品質に差が開いてきている気がするし、あれはアメリカならば許容される方向だけれど、日本では駄目だと思う。

どんなライドシェアなら国内で受け入れられるか。一つは、ライドシェアドライバー登録する時に、研修を受けてそこでドライバー品質を有る程度以上に担保したり、一定期間毎の再研修なんかも必要かも。それならタクシードライバーだって一緒、と言われるかもしれないけれど、タクシードライバーはそう言う事も含めて一般とは異なる運転免許(二種免許)を取得しているわけですからね。一般の免許(一種免許)で旅客輸送をするのだから、そこは家族や友人を同乗させて移動する事とは違う要素が要求されても当然だと思う。ただし、ライドシェアドライバーの品質アップのために定期的に再研修をするように、タクシードライバー側も一度二種免許を取得して終わりではなく、社内研修とかも有る程度義務づけして、より高品質の旅客輸送業務が出来るような仕組みが同時に生まれても良いんじゃ無いだろうか。その時に、ライドシェアドライバーとしての実績を加味して、タクシードライバーになるなら給与体系とかも経験値を考慮されるような仕組みがあっても良いかも。アメリカでライドシェアを利用して一番感じるのは、ライドシェアがどんどん普及していくのは良いし便利だけれど、そのドライバーが増えた分は底辺が広がっていることが一番大きくて、だから以前よりも不満なドライバーや車に当たることも増えていると思います。アメリカの場合は、それは自然淘汰されるあるいはそれでも安いから利用するのは個人の自由という考え方なので成立するのだろうけど、それは日本では通じない背景だと思うし、そうなると結果的にライドシェア自体が全部そうだと思われて衰退していく原因にもなると思います。だから「日本版ライドシェア」と言うよりも「日本的ライドシェア」を目指すべきで、その為にはタクシー会社あるいは運送とか関係無い企業でも良いけれど、そういう組織が品質を担保するような仕組みが必要だと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿