週末に行われた、東京、長崎、島根の補選3選挙。結果的に、立憲民主党の候補者が全ての選挙区で当選したわけですが、その結果を伝えるメディアの多くが「自民全敗」「自民3連敗」という言い方をしている。同じ内容を伝えるにも、ごく一部のメディアだけが「立憲民主党全勝」という言い方をしていて、個人的にはこちらの方が正しい言い方だと思う。
前職の自民党議員の問題で辞任したことにより補選となった東京と長崎は、元々自民党候補は立候補していないのですよね。だから「自民党候補が敗れた」という言い方はおかしいと思うけどなぁ。逆に、立憲民主党議員は対立候補との選挙戦を勝ち抜いて当選したのだから、本来ならばその立憲民主党議員の「勝利」を伝えるべきだと思う。じゃ何故「自民全敗」みたいな言い方をするのかと考えると、立憲民主党の結果よりは自民党への影響を強くしたいという意図があるんじゃ無いかと邪推するわけです。仮に自民党が3選挙区全てに候補者を立てて、その結果敗れたならば、それは「自民全敗」でも良いと思うけれど、実際に対立構造になったのは島根選挙区だけな訳ですからね。
その島根選挙区に関しては、全議員の細田氏の死去に伴うものだから、自民党としては本来氏死守しないといけない選挙区。しかし、細田氏のなくなる直前説明責任の態度とか、今回の候補者の知名度とかもあってか、結構な票差で立憲民主党の亀田候補が当選。立憲民主党としては、他の2選挙区はそれなりに勝算があったと思うけれど、個々は事前調査で優位が出ても最後まで安心出来なかったんじゃ無いだろうか。でもなぁ、その亀井候補って彼らが批判している所謂「二世候補」な訳ですよ。彼らなりの定義によれば、「地盤、看板、鞄」の三要素を全て満たさないと「世襲候補」とは言わないので、今回選挙区を変えて出馬した亀井候補は「世襲議員」には当たらないらしい。何とも都合の良い解釈だと思うし、それを受け入れる人達も人達だと思うけれど。
所謂「裏金問題」の影響が大きかったことは確かで、世間の印象が悪くなったこともあるし、派閥解体等もあって党としての選挙支援もこれまでのように派手に出来なかったこともあるんでしょうね。それでも、3万票近い差は大きいと思うし、保守王国と言われて油断していた所もあるんじゃ無いだろうか。静岡県も「保守王国」と言われていたけれど、あの民主党政権前後の時には自民党議員はボロボロでしたからね。今回の選挙結果で、あの2009年の「政権交代前夜」みたいなことを言う人もいて、確かにそういう雰囲気も感じるんですが、じゃぁあの時のように民主党が熱狂的に支持されているかと言えばそう言うことも無いのが前回との違いでは無いだろうか。だからと言って、自民党が安泰とは決して言えないけれど、15年前の政権交代の時は、民主党は「ガソリン税撤廃」とか「米軍基地撤廃」とか聞き心地の良いことを連呼して大衆から支持を得ていたけれど、今回はそういう雰囲気無くて、「今は自民にお灸を据えよう」という意識がこの結果を出したんじゃ無いだろうか。まあ、それでも岸田政権として自民党政権としては、危機感をもっと大きくして対策しないといけないだろうけど。こういう状況だから、解散総選挙は来年だろうけど、その間に起死回生のヒットを打てるだろうか。これまでの歴史から言えば、その前に立憲民主党が粗相をして自滅するというパターンなんだが。
[ 2025/04/29 追記 ]
長崎3区の補選に関して、興味深い考察。
昨日と2021年の長崎3区の結果なんだけど、投票率は25%も低下しているのに当選した山田さんの得票数はほぼ同じ、つまり立憲共産党は常に約50000票の組織票を持っていて選択肢がなくなった自民党支持者だった有権者25%が選挙を棄権した形になったわけよ、… pic.twitter.com/AprChOoeqN
— ハレハレういろう (@OsoraHighbridge) April 28, 2024
前回(2021年)と今回の選挙では、今回当選した山田候補の得票数はほぼ一緒。ただし、 投票率が前回の60%余りから今回は25%も下がって35%余りに激減しており、その分の票数が前回当選して今回の補選の理由となった谷川前議員の前回の得票数にほぼ一致するんですよね。(25%×23万人=57,500票)。谷川候補支持者全員が綺麗に今回棄権したとは思えないけれど、もし自民党が候補者を擁立していたら、案外結果は分からなかったかもしれませんね。勿論、その場合は無党派層の投票率があがって、批判票として野党候補に流れた可能性もあるけれど、案外既得権益の確保のためにしっかりと組織票で固められて、6万票位は取れたかもしれない。まぁ、いずれにしてもればたらの世界ですが。
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