昨日は瞬間的にUS$1=160円を超えて、それ故に財務省の為替介入があったのか今度は154円台まで上がる乱高下の状態に。 この「US$1=160円台」というのは34年振りの1994年4月以来との事で、日本経済の弱体化を危惧する声も。でもね、US$1=360円の固定相場とか、その後の変動相場制でもUS$1=200~180円位の時代に海外出張とかしていた世代としては、「まだまだじゃないの」とつい思ってしまう。
勿論、そんな30年、40年前とは、国内の社会構造も違うし世界との関わり合い方も異なるから、当時の規準とか常識が今でも正解というわけではない。ただ、今以上の円安レートで、US$1=200円を切ったときには「円高に突入」みたいなニュースが流れていた時代と比較して、今はやっぱりちょっと変だと思う。その1980年代は、日本は良くも悪くもバブルの時代で経済的には国内だけで無く世界的にイケイケドンドン状態だったわけですから。
当時は今以上に円安状態だったけれど、それすら物ともせずに国内企業がどんどん海外に出て行った時代だったんですよね。それは、その前にUS$1=360円と言う時代を経験していたから、US$1=200円とか190円何て言うのは、当時から見たら半額くらいの「円高」状態で、これは海外進出の好機とみんな思っていたから。その後まさか、US$1=70円台まで円高になるとは想像もしなかっただろうけど。現在は「円安」ということで、海外進出した国内企業はどんどん国内回帰を進めているし、それとは別に海外の有力企業も日本への投資を進めている。単に円安と言うことだけでなく、世界の製造工場として期待した中国が、どうもきな臭くまた信用できず、さらには経済発展でコストアップも進んで競争力が無くなってきたことで、日本の良質な労働力や社会インフラの品質が評価されているらしい。となると、今の「円安状態」は海外企業からみたらこれまでよりも少ない支出で、日本国内へは同等の投資が出来る分けだから、これはある意味好機といっていいのでは。
とは言っても、大きな設備投資をしても実際に稼働するまではに数年かかるわけだし、今のコロコロ変わる世界情勢だとその数年の間に状況が逆転している可能性も少なくない。熊本のTSMCが話題ですが、10年は熊本にいるかもしれないけれど、その後は世界情勢や技術革新で更なる技術が必要となった場合、彼らはそのまま日本国内に止まらず、もしかしたらベトナムとかインドネシアとか、これからの土地へ今度は進出するかもしれない。その時に日本としてより付加価値の高い魅力的な「条件」を出せるか、今からの準備が必要なんですよね。安定的なエネルギー供給や、良質の労働力、さらには投資するだけの価値を見いだして貰えるような社会的なインセンティブ等、やることは多いけれど日本ならば決してそんなに難しいとは思えない。これまでの中国の場合は、政府の一存で何でも可能だったことで、多くの企業が進出したけれど、それって政府の意向が少し変わればそれに従わないといけない事もあるわけで、そのリスクが最近大きくなったことに嫌気がさしたことも大きいんでしょうね。将来のことを考えると、中国と地続きの韓国よりは、少し距離のある日本の方がまだ安全、ということも有るんだろうか。案外そちらの方が円安よりも重要だったりして。
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