佐々木俊尚氏が紹介していた、多孔質レンガ開発の物語。
高野豆腐と北極海でも凍らない魚のタンパク質からヒントを得た産総研の技術。人類最古ぐらいのテクノロジーのレンガがこんなに激しく進化するとは。/なんと、ゴミ焼却炉は「エネルギーを98%も無駄」にしていた…!中をスカスカにした「新世代レンガ」の断熱能力がスゴすぎる https://t.co/5rNlZ2OgVa
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 8, 2024
レガシーテクノロジーの象徴ともいえる「レンガ」を、多孔質の形状成形することで保温効果が格段にアップして、結果これまで排気していた熱の98%が回収できるようになるという話。それだけならば、レンガの改善話で終わりですが、多孔質レンガは作れても理想的な多孔質形状にならず、いろいろ試行錯誤したら氷点下でも凍らない血液を持つ北極海の鱈の血液から発見されたタンパク質を利用することで実現するという、無機有機協業シナジーみたいな話に変わり、エンジニアの端くれとしても胸熱な展開。
この記事を呼んでいて感じたのが、何か凄く伏線を配置して最後にそれら全て回収して解決知る推理短編小説を読み終えたような気分なんですよね。自分の知っている作家・作品で言えば、楡周平氏の一連のビジネス系作品、「プラチナタウン」とかその続編の「和僑」を読み終えたような感じ。本来熱を遮断するには、分厚い断熱材を想像するけれど、空気の層を作る事で断熱・保温が出来るというのは、最近建築なんかでしょうされる断熱材なんかを知っていればそんなに知らない技術では無い。でも、レンガの中にどの様にそういう空気の層=何も無い空間を作りつつ、強度は維持しないといけない訳で、それって航空機の軽量化技術で使われる「ハニカム構造」をイメージすれば良いのかな。ただ、そういう構造を安定的にかつ均質に製造する技術が無いと利用出来ないわけで、そこに全く畑違いな「北極海の魚の血液中タンパク質」が使われるというのは、大ドンデン返しともいえる展開。
最近人気の野菜で、「越冬白菜」とか「越冬人参」みたいな名称のものが増えていて、それは秋口に収穫せずにそのままにしておいて、冬季は積雪したまま放置。低温で野菜は凍らないように糖分を増やすことで自分自身を守るのだけれど、それ故に糖度が上がって甘みの増した野菜が春に収穫出来ると言う話にも近い気がします。今回の話は、糖分では無くタンパク質だけれど、同じように寒冷地に生息している他の動物や植物似も同様のタンパク質は存在してそう。ただ、動物の場合は「冬眠」という回避策があるから、植物から抽出するというのは良いアイデアかも。なんせ北極海の魚からだと1gあたり130万円もするのだから、これは検証は出来ても工業化には繋がらない。
この短い記事からも感じられるのは、自分がこうと思ったらその部分に拘るいかにも日本人らしい集中力と、180度異なる分野技術でも躊躇せずに取り込むような、チャレンジ精神みたいなもの。特に後者では日本人には不足していると言われることが多いと思うんですが、結構こういう異業種交流みたいな事って嫌いじゃない気がする。話はちょっと飛躍しますが、コスプレなんていうのも、そういう部分って大きいと思うし日本人的には「それもあり」という結構間用なのも、そういう気質が元々あるからなんじゃ無いだろうか。最近だと、生成AIを利用してこう言う「予想外の組合せ」から「新技術・新製品」を発掘するような事が実行されているけれど、案外日本人的な良い意味での「変態性」を学習させた生成AIに、この手の組み合わせみたいな事をやらせたら、予想外に面白い結果が出そうな気がしますね。実は、もうどこかでやっていたりして。
0 件のコメント:
コメントを投稿