2024年1月29日

世隠れ人

私自身も、朧気ながら記憶の片隅に残っている「連続企業爆破事件」。その犯人の一人としてずっと指名手配されていた「霧島聡」なる人物が神奈川県の病院で見つかり、結局末期癌で亡くなったと言う記事。何故そんな長い間潜伏していた人が急に発見されたのか不思議でしたが、病院に入院した本人が「自分は...」と伝えて発覚したということで、殆ど全ての関係者にとっては寝耳に水の話だったんでしょうね。

本人は「内田洋」を名乗り、藤沢市の工務店で数十年間住み込み勤務していたということで、仮に30年間としても、良くそれだけの期間その名前が「偽名」であったことが発覚しなかったのか不思議。普通仕事に就く場合には、それなりの身元確認とか、税金関係等でも分かりそうな気がするんですが、そういう所は曖昧のまま運良く何十年も気がつかれないままに社会に溶け込んでいったんだろうなあ。有る程度その地域なり社会に馴染んでしまえば、逆に疑うことの方が不自然になりますからね。でも、これが自分の住んでいる田舎ならば、自治会とかご近所付き合いとかあるから、そう簡単にはいかないだろうけど、藤沢市くらいの「都心」ならば、有る程度そういう付き合いも薄いし、何とかなるのかなぁ。

入院下という事で、じゃぁ健康保険証はどうしたんだろうと思ったら、それは無くて全額自費だったらしい。その勤務していた工務店がどういう規模でどういう内容か分からないけれど、健保に加入せず国保にも加入していない人が仕事をしているという不自然さがどこかで分からないのが今の仕組みの問題点なのかも。これがマイナンバーに統一されれば、多分こう言う事はもう隠し通せないんだろうなあ。それと、幾らそう言う活動家と言えども、一人でそこまでのことを出来るとはちょっと考えられない。例えば親が相当の資産家で潤沢な資金があるとかであれば、まだ考えられないことも無いけれど、今回の様に工務店に長年勤務しているような、見つかるかもしれないリスクを犯すのであれば、そう言う資金的な余裕もなかったような気がするし。何らかの支援組織なりグループの存在が言われているけれど、本人が亡くなってしまった今、その全貌が解明されることはあるのだろうか。 

別に犯罪を犯したわけでは無いけれど、色々な理由から世の中から隔離されて、あるいは離れて生活したい人っていうのは、それなりの数存在するとは思うんですよね。最近は、自分で山を購入してその中で自給自足生活をしている人のYouTube何かもよく見ますが、あれって多分生きることその日の生活することだけで一日が終わってしまうので、避けないことを考える余裕どころかそんな無駄なことすら出来ない極限状態が、逆にその人を社会から隔離させるような気がします。以前は、結構そう言うコンテンツが面白くてYouTubeでも何チャンネルか登録していたりもしましたが、暫く見ていると何か修行している様子を見せられているような気がしてきて、最近ではちょっと疎遠に成りつつあります。でも、そんな自然の隔離手段を使わなくても、都会の中でも十分に隠れて生活出来る事は、決してドラマとか映画の中だけの話じゃないんですね。でも、本当にこの人が一人でこれまで隠れていたのならまだしも、もし協力者がいてその支援なりで生活していたとすれば、結局はその人は隠れたつもりでもそうでは無かったと言う事だし、それでも最後には「自分」に戻りたかったという事は、その数十年間の生活は本人の意図したものでは無かったという証拠のような気がします。ご本人のご冥福を祈るとともに、当時の事件から今回の経緯まで、その背景や詳細も明確にされることを祈りたいです。

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