2024年1月5日

原因究明

羽田空港でのJAL/海上保安庁機衝突事故で、現場検証も本格的に始まり原因究明の作業が続いています。事故発生直ぐに、使用機材の開発メーカーである、AirBus社が直ぐに調査員を派遣したのに続いて、エンジンメーカーである英国R&R社も調査員を派遣して原因究明作業に入るとのこと。技術的専門家が入る事で、より詳細にかつ迅速に究明作業が進むとともに、言い方は悪いかもしれないけれど開発メーカーとしては今後の技術開発や化以前に行かせる情報収集の場としても貴重な場になるわけですからね。その価値は計り知れないと言っても良いんじゃ無いだろうか。

「不謹慎」と言われるかもしれないけれど、テスト的に物理的衝撃だとか今回の様な火災実験をする場合よりも、実際に予想外の事故に遭遇して発生したトラブルや事故の方が、実は何倍も何十倍も得られる情報は大きい物。私も時用放胆松の開発に関わっているけれど、開発中に色々な使用状況(ユースケース)を想定しても、いざ市場に出してみると、それら想定の遙か上を行くような想定外のケースが幾つも発生して、予想もしないようなトラブルや障害が発生するもの。今回のケースも、使用機材のA350-900が最新鋭機という事で複合素材を多用していたために、火の回り方が遅くなりそれだけ乗員乗客の避難する時間が取れたという効果が言われているけれど、衝突したほぼ瞬間から機内PAが使用不能となり、操縦室と客室のインターホンなどが使用出来なくなったため、かなりの範囲でCAがそれぞれ独自判断したことも伝えられており、そう言う「情報共有」に関しては今後対策が必要になるでしょうね。例えば、今はCAさんは一人一台ずつタブレットやスマホを利用しているけれど、緊急時はそれらデバイスがP2P接続して通話が出来るようになるとか、今の設備を活用することで結構安全性は多重化されると思います。

一方で、昨日当たりのニュース等では機内が混乱する様子を撮影した乗客のビデオを何度か流しているけれど、あれは逆効果だと思う。今回の「軌跡の脱出」に関しては、CAさんの冷静な対応が評価されている一方、多分乗客の殆どが荷物入れから自分の荷物を取り出さず、安全ビデオがガイドしているように着の身着のままで外に出ることを優先したからこそ、あの短い時間で400名近い人間が脱出出来たことは確実。それでも、最後に機長が機内を確認して逃げ遅れた乗客を数名脱出された位なので、そういう部分も手順としては改善が必要かも。だからテレビ等で映像を流す場合は、そう言う緊迫した場面を使用するのであれば、ちゃんと本来必要な行動・態度のテロップくらいは入れるべきだと思う。例えば子供の声で「開けてください」と何度も声が入る場面では、「客室乗務員の指示があるまでは、座席に座って待っていてください」とか、外からの映像でシューターで降りてくる場面では、「シューターを利用する時の姿勢のCGとか、「地上に降りたら飛行機から一定の距離まで離れてください」とかのテロップを入れるとかしないと、もし同じようなトラブルが発生したら今度はパニックになって混乱するだけになると思う。ネットのコメントでは、日本では小中学校等で毎年避難訓練とか地震避難訓練をしたり、運動会などでの団体行動をしたりという機会が多いので、ああいう万一の場合でも統制の取れた行動が咄嗟に出来るのではと言う内容の物があったけれど、それはちょっと納得出来る意見だなと思います。

現在、管制塔との通信内容や色々な情報が公開されて、それによって原因に関しての報道も多いけれど、海上保安庁機の乗組員のうち唯一生存した機長の責任を問う意見も公に多く見られていて、それは今後の調査で原因の大きな部分を占めると判断されるかもしれないけれど、現状では公正な調査のためにも今は専門家以外の発言は控えるべきだろうなぁ。それでもマスコミは、扇情的な映像や意見を出すことで注目を引きたいのかもしれないけれど。個人の犯罪行為なのでは無いのだから、一番重要なことはどの様にすれば将来このような事故を回避出来るか、その方法を見つけることで、個人に責任を負わせることではないのですからね。とは言っても、もう少ししたら海上保安庁機機長の生い立ちはとか、スキャンダルやゴシップ系の話も出てくるんだろうけど、そう言う事に対しては今後は厳格にかつ強く批判するべきだと思う。で無いと、やはり同じような事故は再発するだろうし、それに対しての対策も進まないことは明らかだから。今回の能登半島地震に対して、政府の対応が遅いと批判する人も居るけれど、個人的には過去の阪神大震災とか熊本地震とか東日本大震災とか、そう言う経験を積んでいろいろ努力している様子は感じられると思う。勿論、100%完璧な対応を誰もが求めるだろうけど、それを言い出したら「地震を事前に予知しろ、地震そのものを止めろ」という話になってしまうわけだし。冷静な対応と批評が、次の事故を防止する最大の武器になると思う。 

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