2023年10月9日

報道暴走問題

例の「氏名NG記者」リスト問題を、この週末も伝えるワイドショーやニュース番組が多いのですが、どの番組も判で押したように「氏名(指名)NGリストで指名されなかった記者が~」という言い方をしているのが気になります。だって、あの会見だけで250名とか300名近いメディアやジャーナリストが参加していて、全員が指名を受けて質問をしていたら、一体何時間かかると思っているのだろうか。しかも、そのリストに掲載されていた6名のうち1名は序盤に指名されており、2名は不規則発言をして回答を得ている「実質的に質問機会」を得ているわけで、そう言う意味では「50%の指名率」だったわけです。全参加者が250名とか300名と言われている中で、25名が指名されて(うち2名は不規則発言者も含まれるんだろうけど)質問しているわけだから、全体の指名率10%程度の事を考えると、とても「氏名NGリスト」で排除された、とは言えない状態。

参加した記者やジャーナリスト全員が指名されてあるいは質問機会を得ないといけないというのであれば、毎回とんでもない時間が掛かるだろうし、招待者数も絞らないといけないかもしれない。批判も多いけれど、そういう事態を避ける意味もあって「記者クラブ」なるものは存在しているわけですよね。あるいは、よく引き合いに出されるアメリカの大統領会見とか報道官会見なんかは、重鎮みたいな記者がいてそう言う人が仕切るらしいけれど、それならそれで日本も同じ事をやれば良いのに、決してそんな話は出てこないわけですし。そういうメデイア側を否定するような準備がされた事を批判するのは許せるとしても、それを拡大解釈して「質問機会が失われた」と言うのは詭弁だと思う。

それに、世間一般的には、そういうリストに名前が出るあの人達なら、それは自業自得だよねという意見も決して少なくない。 同業者からも、こんな意見が出てきているわけですし、回りは彼らのやり口もやっている事も理解している。しかも、所属会社からしたら二重勤務というか新聞社名とWebメディア名を使い分けて、都合の良いように自分の活動を利用しているわけで、それって服務違反とはならないのだろうか。雑誌社の取材による新聞社への質問に対しては「特にコメントはありません」と回答したらしいけれど、それって今彼らが追求している「ジャニーズ事務所問題」と同じ構造じゃないかと。つまり、少数の悪戯を働く人間がいて、それを回りも知っているのに忖度とか地位とか世間の反応とか自社の利益とかの理由から、見て見ぬ振りをしていたのがジャニー喜多川氏とその回りによる性加害問題だったし、その構図がそのまま反映されているのが今の「報道暴走問題」じゃ無いかと感じるところ。

当事者であるジャニー喜多川氏がすでに鬼籍に入っている以上、優先すべきは彼の行為の詳細を明らかにすることよりも、まずは300名とか400名とか言われている被害者の支援と補償でしょう。場合によっては、精神的なケアが今最も必要かもしれないのに、毎日朝から晩まで事務所の会見がとか対応がとか言っているのは、視聴者受けをすることが優先で実質的な対応対策は二の次三の次という風にしか見えない。先日の日本テレビやTBSの調査報告を見ても、当事者意識みたいなものが希薄で、いゃいゃ貴方たちだって知らないわけが無いじゃないの、1年2年前の話じゃなくて、30年40年の話な訳だからずっと一緒に仕事をしたのでしょ、と聞いてみたい。大企業での不正行為とか明らかになると、それこそ蜂の巣をつついたようにあちこち報道するくせに、いざ自分達に火の粉が降りかかると、おざなりの釈明で終わり。「報道機関」なんて言う肩書きはもう捨てて「暴走機関」とでも解明すれば良いのに。と、本当に思う。

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