何か最近、急にパソコンのかな漢変換の話題が増えていて、産経新聞にもこんな記事が掲載されたんですが、調べてみたらそのNHKの番組って一年以上も前に放送されたものなんですね。私が「コンピューター」なるものに始めて触れたのは高校時代で、工業高校に進学した友人が4bitマイコンで工作とかしていたので、それを横目で見ていたのが始め。大学は理系の情報系の学科に進学したので、大学時代は結構コンピューターを利用したけれど、殆どがホストコンピューターやミニコンピューターで、偶々同級生の何人かが当時としてはかなり高価なPC-88シリーズとかAppleとか所有している友人がいたので、ちょっと触れた程度。就職してコンピューターの会社に入ったけれど、最初はホストコンピューターの端末開発だったので、入社時研修で今で言う「パソコン」に触れた以外で本格的に「パソコン」に触れ始めたのは1987~8年頃からかなぁ。
今で言う「かな漢字変換」を始めて体験したのは、入社時新任社員研修でパソコン実習みたいなコースで。当時は日本語入力は出来たけれど、全てローマ字変換(日本語キーボードは確か無かった)。しかも、文節変換も出来ないので、漢字一文字ずつローマ字入力で読み仮名を入力して、それを漢字に変換する事を繰り返しての日本語入力でした。その当時はまだハードディスク(HDD)は高価で使えなかったので、フロッピーディスクに辞書があって、それを一文字毎に読み込んで行くから、五月蠅いし時間は掛かるしで大変でした。昔の携帯電話で十字キーで日本語入力する事以上にストレスを感じる時代でしたね。当時はMS-DOSでパソコンは何とか動く時代でしたが、メーカー各社が独自にDOSをカスタマイズしていて、かな漢変換(FEP/Front-End Processor あるいはIME/Input-Method Engine)も内蔵されていて、確か熟語変換とか単文節変換くらいは出来たんじゃ無いかな。同世代のパソコン使いあるあるですが、この頃の癖が体に染みついているので、今でもついつい小刻みにスペースバーを叩いて小刻みに漢字変換をしてしまうので、変換精度が低くなってしまうのが困るんですよね。この頃のFEPは、VJE、WX、松(松茸)、ATOK等有って、個人的にはVJEを使っていました。でも会社のホストコンピューターがIBMで、だからホスト端末として支給されたパソコンもIBMだったので、中で使用しているDOSには確か「SKK("Single-phrase Kana-Kanji converter"の略だったかな)」という単漢字変換FEPが最初は入っていて、そのうちに「MKK(Multi-phrase Kana-Kanji converter)」と連文節変換出来るものに変わったと記憶しています。
当時は「日本語FEP」と言っていたように、漢字入力システムはワープロソフトの一部であり、だからワープロソフトの種類だけ日本語FEPも存在していたと言っていいくらい。そのワープロソフトは、パソコン登場以前に盛んに使われた(パソコン登場以降も人気があったけれど)、文章作成専用機「ワードプロセッサー」機で使用されていたものが移植されているから、「日本語入力」という意味では1970年代後半位から始まるもの。その中でも、最初の製品として発売されたのが、東芝のJW-10なので、当時の関係者がNHKの放送内容に異議を唱えるのも分かる気がします。実際私の中でも、ATOKは長く「ワープロソフト一太郎の一部」というイメージがあったし、ATOKの前身であるKTIS(Kana-kanji Transfer Input System)がNEC版MS-DOSで使われていた事から考えても、JW-10の方が先であったことは確か。そういう経緯を考えると、浮川ご夫妻の努力やJustSystem、ATOKの果たした役割が、日本語入力システムに関して大きな影響力と功績を残したことは事実だと思うけれど、
今から30年以上前、ある異才のプログラマー夫妻・浮川和宣と初子によって礎が築かれた。
とまで言うのはどうかという気がします。ただ結果的に今のパソコン(Windows)で残っているのは、ATOKだけですからねぇ。強いて言えば、WX(II)はMS-IMEのベースだけれど、Windows98以降はMSの独自開発ということになっているし。いずれにせよATOKは今でも唯一生き残り、パソコンだけでなくスマホでも使用されているので、その存在感と影響力は大きいと思うけれど、日本語入力システム開発黎明期に置いては、やっぱりワープロ専用機の開発競争で各社鎬を削っていたわけで、その中ではやっぱり東芝のワープロ開発という存在がより大きかったことは事実だと思うなぁ。
本題から外れるんですが、今回の記事の内容を調べていたら、何と10何年振りかで中村正三郎氏のアサブロに再会してしまいました。いゃぁ、懐かしい。まだご健在だったんだと思ったら、をぃをぃ自分とそんなに年齢的には違わないのか。毎日彼のアサブロを読んでいた時には、自分より年上だと思っていたのに(汗)。何か久し振りに自分がパソコンに関わり始めた頃の懐かしい話題を探して見つける一日になったけれど、もうあれから40年以上過ぎていて、あと少ししたら「半世紀前の出来事」と言われるのかと思うと、かなりびっくり。今では音声入力も普通に使える時代になってきていて、日本語FEP/IMEなんていう言葉も、もう死語何だろうなぁ。「かな漢変換は遠くになりにけり」ですね...
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