2023年5月23日

Intel X86-S

Intelが、過去の互換性を削除して最新の仕様に基づく新しいCPUアーキテクチャ「X86-S」を公開というニュース。曲がりなりにも、パソコン誕生前の黎明期からこの世界に関係していたエンジニアの端くれとしては、感慨深い「変革」だなぁ。 今回はアーキテクチャの公開で、これら元にユーザー(PCメーカー等)の意見を集約して、問題があればそれを残す・残さない、別の対策をするなど修正をして、最終的に「正式仕様書」として発行されて対応製品が出てくるのは何年後だろうか。

Intel CPUを使う殆どの場合は、Windows PCとしての利用だと思うんですが、そのWindows自体はほぼ64bit版に集約されていて、32bit版は一般には使われなくなっているんですが、アプリレベルではまだ32bit版は結構残っていて、H/Wは64bitベースになっても環境としては32bit環境はまだ必要。エミュレーターも最近はかなり性能も良くなって、ほぼリアルな環境と遜色なく利用出来るから問題は無いけれど、それでも100%互換と言う事は言えないので、なかなか移行作業はどんな場合でも難しい所。Intel側としては早く移行したいのだろうけど、ユーザー側としては自分達の都合というよりはお客様の都合があるので、この辺りの調整が一番難しい所ですよね。お客様側でもそう言うアプリが有るかどうかは昔のことでよく把握していないことも多くて、実際に移行してみたらあれが動かないこれが使えないとなってはじめて慌てることも多いんですよねぇ。

記事にも書かれているように、2000年代に入り「仮想86モード」や「A20ゲート」が無くなり、長く使われていた16bitの世界から32bitの世界へ移行した時には、「ホストコンピューター見たい」と感動しましたが、それも長くなかったなぁ(笑)。自分自身は、社会人になって最初はホストコンピューターの端末製品の開発に関わっていましたが、仕事の関係で当時のパソコンを使う機会がちょっとありました。Intelの8088とか8086を使ったPCで、今から思えばオモチャにも届かないような性能だけれど、当時としては巨大なホストコンピューターと同じ仕組みのものが手元(とは行っても本体だけでホールケーキの箱よりも大きかったけれど)にあるというのは、「技術革新」なんて言う言葉も湧いてくるほど。8086から、80186→80286→80386→80486と進んでいくんですが、32bitモードが使えるようになっても16bitモード、所謂「リアルモード」で使うことが多かったことも事実。当時はCBIOS (Compatible BIOS)とABIOS(Advanced BIOS)という16bit用と32bit用のBIOSが混在していて、PC起動もCBIOSから起動してABIOSに変わる見たいな事をやっていましたが、それもUEFIになって直接起動出来るようになり、2000年に入ると過去の最大の遺産であるCBIOSもPCから削除されたし、感慨深いものがある異常の感慨かも。

日本の電車のレール仕様がその典型だと思うんですが、一般の電車の狭軌レールと新幹線などが利用する広軌レールは、リニアモーターに全面移行でもしない限りは、今後もずっと残るであろう仕様だと思うんですよね。あれは、それぞれ別の仕様として独立して利用されるから残るんであって、もし統一しようとしたら、どちらを規準にするにしても大変な騒動になります。また、それぞれの仕様でもそれ以上の仕様要求がされる場合には、例えばリニアとか新しい仕様で最初から作る事を許される世界だからまだ良いけれど、パソコンの世界はまだまだ成長途中というか、次は64bitから128bitですが、案外早くそう言う時代もやってくるかも。自分が生きている時代は無理だろうけど、量子パソコンとかだって、あるいは量子スマホだって技術的には可能だろうし。その時にはどう言うアプリがどんな風に動作しているか見てみたい。

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