今回のG7広島サミットは、多分後世において「歴史の転換点」の一つとして語られるような内容じゃ無いかと素人ながら感じるんですが、その最大のシンボルはG7各国首脳による広島の原爆資料館訪問と献花でしょうね。日本とアメリカに関して言えば、以前のオバマ大統領による訪問が一つの象徴だったけれど、今回はそこに当時の関係国のうち、中国とロシア以外の国が参加しているわけで、意味相手としても桁違いの重さと言えるでしょうね。
NHKの記事では、岸田総理をはじめ外務省関係者が時間を掛けて苦労して実現した事が語られているけれど、日頃外交音痴と言われて日本の弱点みたいな「外交」が、日本としてははじめて「力」として機能したんじゃ無いだろうか。そこには、もちろん外務大臣を長く経験した岸田総理や外務省職員の力が大きいと思うけれど、安倍元総理の時代に鍛えられた人材が今活躍している、という事もあるんじゃ無いかと言う気がします。それは、今回のG7の内容だけでなく、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日という、多分多くの人が好ましいけれど実現は無理だろうと思っていたことを実現したことからも言えそうな気がします。日本の外務省だけで無く、G7各国の協力無しでは実現出来ない事ですから、サウジアラビアから日本へは、フランス軍の航空機を利用したから、少なくともフランスは協力しているだろうし、当然アメリカの了解だって無ければ無理だろうし。それ以上に、広島出身ということも有り岸田総理の意志が強かったのだろうけど。
ウクライナに取っては、直前に訪問したG7の欧州各国だけでなく、インドなどの中立的・ロシア寄りの新興国等もまとめて一気に会う機会は大きいものの、その間の戦況次第では最高指揮官であるゼレンスキー大統領が母国を離れることは望ましくない。偶然なのか意図的なのか分からないけれど、ウクライナが犯行姿勢を示して実際犯行が進んでいる状況も、彼が母国を離れて遠く極東の日本まで移動する、その直前のサウジアラビア訪問等も含めたら、かなりの期間母国を不在にするわけですから、彼としては究極のハイリスク・ハイリターンを狙ったんだろうなぁ。訪問するとなれば、彼だけで無く彼のスタッフ=政府の要人も複数人同行するだろうし、万一のことがあればウクラナイナ取ってはかなりの損害になるわけですからね。ゼレンスキー大統領は、到着早々インドのモディ首相と会談したようですが、ロシアとも近いインドと話をするのに、やはりインドでは不安があるけれど、日本ならばそれも各国首脳が滞在している間なら、まぁ今一番安全な場所と言えるでしょうからね。それに、開催地が広島で、核軍縮は嫌でも話題になるし、その広島の被爆のイメージがロシアによるウクライナへの核攻撃と重なれば、これほどの抑止力は無いわけですし。
これまでの人生で「歴史が分かる瞬間」に立ち会ったと感じる事が何度かあって、その中で一番記憶に残っているのはアメリカ出張中にフロリダのホテルでCNNが生中継したベルリンの壁崩壊の瞬間。日本人にとってはそんなに印象は無いのでしょうけど、現地で宿泊していたアメリカ人や欧州の人達が食い入るようにベルリンの壁が壊されていく様子を見ていたのが凄く印象的でした。さらにその翌年、湾岸地域が緊張していた時、当時朝会社に行くときにはFNNの英語放送を聞いていたんですが、丁度会社の正門当たりに差し掛かったときに、急にアナウンサーが開戦(イラクのクエート侵攻)を伝え始めて、その中の一言"We are seeing a history in making!"の"in making"(歴史が作られるその場に立ち会っている)という一言が、凄く心に残り、未だにこの言葉だけは忘れずにいます。それ以外にも、3.11のテロや、国内だって阪神淡路大震災、東日本大震災等大きな事象はあったけれど、今回はゼレンスキー大統領のことも含めて、これまでで一番の「歴史の転換点」を見た気がします。これが必ず世界平和に繋がる事をただただ祈りたいですね。
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