2023年5月25日

「CM上の演出です」で終わり

CMでの映像が残酷だと愛鳥家がクレームして、CMの公開がストップしたという記事。 CM中で籠の中に居たインコを外に解き放つ事が、自然界では生存することが難しいインコに対してするべきでは無いと言うクレームらしい。確かにそれは事実だろうし、実際にペットを飼育放棄で外に逃がしてしまうことも多いだろうから、そういう行為を助長する可能性も考えると、映像としては望ましくないことも事実。でも、それでCMを取り止める必要までは有るんだろうか。それならば、良くある手法で「これはCM上の演出です。実際には放鳥しないでください。」とでもテロップを追加すれば無問題なのでは。

とあるクルマのCMだったか、高速道路上を複数の男性メンバーがハンドルを手にして運転している振りをしつつ走るシーンがあって、あれにも「これは演出です。実際は走れません」みたいなテロップが小さく表示されていたと思います。それだけでなく、昔は何も言わずに放映されていた類の映像でも、最近はちょっと法令違反と言われそうなシーンには、事細かに「CM上の演出です」みたいなテロップが入るわけで、それで済むのであれば今回だって同じ事で良いのでは。あるいは、もしかしたらCGでインコを別の鳥に変更してから再放送するのだろうか。それだって、その鳥がペットとして飼育されていたものなら、外に放つ行為自体問題なわけですよね。それならば、例えば怪我をしていた野生の鳥を救出して、その怪我がなおったから再び外に戻す、みたいな想定にしないとなり立たなくなります。

放鳥ではないけれど、よく見聞きする行為で、小川の自然回復のために魚を放流したり、川辺の生き物を放流したりする事があるけれど、あれも一つ間違えば環境破壊にも繋がる訳ですよね。私も聞くまではそうなのかと知らなかったけれど、例えば別の地域で捕獲して繁殖した例えばメダカとかを放流した場合、そのメダカの種類が異なる場合環境汚染行為になるらしい。メダカは、大きく分けてミナミメダカとキタノメダカの二種類いて、その中でも地域毎に遺伝子が異なる種類が分岐しているらしい。だから自然の生態系を維持するのであれば、その地域で捕獲したその地域の遺伝子体系を持つメダカを繁殖させて放流しないといけないのに、別の地域のメダカを(見た目は同じようだからと)放流しては、その地域のメダカの遺伝子が汚染されてしまう。あるいは、特定外来種の例えばアメリカザリガニを放流するような事も、以前は有ったようでそれも日本の固有種に影響する環境汚染と言えるとの事。何かを放流すると言うことは、その地域では減少している種だからそうするわけで、そうなると少ない種を捕獲して繁殖させて放流する事も本来は大変なはず。で、つい簡単に入手出来る他地域の同種の生き物を放流してしまうけれど、それってますますその地域の固有種を圧迫することになるんですよね。

「鳥かごから鳥を放つ」というのは、自分の子供の頃は「青い鳥」の話とかあって、案外身近に感じられた行為だし、昔は今以上に小鳥を家庭で飼っていた家が多かった気がします。わざわざ外に放つ人は居なかったと思うけれど、鳥かごから取りを出すという事は、昔はそれなりにあった行為。だから、「自由」とか「規則からの脱却」みたいなイメージとして、鳥かごから鳥が飛び出るシーンは案外使われた気がします。でも、時間が流れて今の時代では、それは逆にペットへの虐待行為と言われる可能性もあるわけで、そう言う意味では気を配るべきシーンだったことは確かだと思う。今回の件は企業側の判断なので、そこにとやかく意見する気持ちは無いけれど、でもこう言うことがますますエスカレートしていくと、過去の映画とかCMに対して「あのシーンは虐待だ」と言って削除したり修正させる行為が生まれてきているのが現状。程度の差や内容にもよりけりだけれど、過去の映像はその当時の「事実」として残し、必要ならば注釈なりを追加すれば良いと思う。一方で、今作る映像に関しては、堅苦しいけれど今のルールが適用されることは仕方ないと思うし、それでも自分の意志なりイメージを訴求したいときには、その旨断りを入れることで周りもそれは受け入れる余裕は必要だと思う。

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