2023年5月19日

核のボタン

広島でのG7開催にあたり、各国首脳が続々と来日し、昨日はバイデンアメリカ大統領も岩国から広島入り。その様子をメディア各社は報道しているのですが、中でも大統領に随行している随行員のうち、所謂「核のボタン」通称「フットボール」を運んでいると思われるスタッフに注目が集まっています(集めている?)。

核兵器発射には色々な手続きがあって、最後に米軍の最高指揮官であるアメリカ大統領が発射のボタンを押すと、核兵器が投射される、というのが一般的に言われている話。その最後の「発射ボタン」は、常に米国大統領とともに移動し、どんな時でもどんな場所でも、それが必要と判断されたら使用出来る状態になっていないといけない。絶対に地面に置けないから、アメフトに擬えて「フットボール」と呼ばれていると言われているけれど、今回その映像を見て少し違和感が。

以前だと、そのフットボールを運ぶスタッフは、海兵隊当たりの屈強な男性兵士だったように思うのですが、今回は女性兵士が運んでいる場面が多く写されました。また、その鞄自体が奪われないように、鞄と運搬する担当者は手錠や鎖で繋いで絶対に奪われないようにしている、と言う話だったけれど、今回はそんな様子は見られない。また、二重、三重に鞄に入れているのかもしれませんが、外観だけ見るとソフトレザーみたいな鞄のように見えて、強度的に大丈夫なのか心配になります。まあ、そういうプロトコルとかシステムに関しては、もう何十年も続けている米軍だから、素人が心配するようなことに対してはちゃんと対策しているんだろうけど。

それよりも、「これが核のボタンです」なんて日本のメディアがこぞって放送していることは米国としては許しているのだろうか。だって、知られているとはいえ最高気密なわけですよね。大統領を狙うよりも、ある意味価値がある対象かもしれないし。さらに言えば、恰も核兵器を日本国内に持ち込んでいるようなトーンで報道するメディアもあって、それはちょっと恣意的なのでは。逆に、目の前に発射の有無を決めるボタンがあるのだから、核兵器使用に関しては一番よく分かる状況にあるわけですからね。さらに言えば、G7で核兵器を自国で開発指定保有している、英国とかフランスとかに対しては、そういう報道はしないのは、やっぱり恣意的・意図的な気がする。核の問題は特に日本人にとっては、広島長崎の原爆投下に福島第一原発の事故と経験しているだけに切実な問題である事は理解するけれど、どうもメディアのこれまでの報道を見聞きしていると、一方的なしかも何故かアメリカに対して目の敵にしているような印象を受けます。アメリカの存在が大きい事は理解するけれど、現時点で一番可能性があるのはロシアだろうし、日本にとって切実なのは中国や北朝鮮だと思うんですよね。そういう部分もちゃんと含めて報道しないと、何かアメリカが核廃棄すれば全て解決する、核廃棄しないアメリが悪い、と言うような意識だけが残っていく気がする。

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