昨日報じられた、ロシアの中心施設であるクレムリン宮殿への無人機の攻撃と思われる事件。プーチンロシア大統領を狙ったウクライナの行動かと一瞬色めき立つものの、その無人機爆発の映像がネットに流れてくると、色々な矛盾も指摘されることに。そうなると、これはウクライナに対して更なる攻撃の口実を作るためのロシアの自作自演説が言われるようになり、確かに双方の利益を考えたら、ウクライナが攻撃をするよりはロシアが攻撃の口実を得る方が大きいよなと自分としては感じる所。最大の疑問は、仮にウクライナが無人攻撃機を飛ばしたとして、それが可能なのかどうかと言う事。クレムリンのあるモスクワと、ウクライナ国境地帯とは、直線距離でも500km位あるので、それだけの航続距離のある無人攻撃機があるのかが最初の疑問。仮にそれが可能だったとして、ロシアとしては自国内を500kmもの距離を無人機が飛行しても、それを事前に探知することも排除することも出来なかったわけで、それは自らの防衛力の衰えを示す証拠にもなる。
映像では、その無人機が接近しているところに、クレムリンの外の階段を上っている人の姿が二人映っていて、時刻は早朝間近な午前3時頃なのになんでそんなところに人が居るのかという素朴な疑問が多く出されています。さらにその無人機は直前で爆発したように見えるのですが、何か迎撃システムが作動したようにも見えず、自爆したように見えるんですよね。でも、建物に衝突して爆発するなら損傷させる意図が分かるけれど、まだ空中にいる間に爆発しても、そんなに効果は無いでしょう。精々視覚的な効果しか期待出来ないけれど、夜明け前にそんなことをやっても意味は無いだろうし。現在のロシア・ウクライナの状況で、最も信頼出来る専門家の一人と言える、東京大学・先端科学技術研究センターの小泉氏としても、やはりどちらの行為という確証はまだ不明な様子。個人的には、5月9日の「戦勝記念日」に向けて、大きな行動に出るための理由付けとしてロシア側が自作自演でウクライナへの攻撃理由を作った、という説が一番ありそうな気がしますが。あるいは、ロシア国内の反体制派が、両陣営を巻き込むために実行したという可能性も無くは無いだろうけど。
ロシアのウクライナ侵攻が始まり、もう1年と数ヶ月が過ぎ、未だにその行方は分からないまま。ただ、時間が立てば立つほど、ウクライナ側は西側からの兵器や武器供給を受けて装備は充実してくるので、人員は豊富だけれど武器不足・旧式化しているロシアとの差がどんどん縮まるんじゃ無いだろうか。ただ悩ましいのは、余りにロシアを追い詰めてしまうと、最後の手段=核使用に踏み切られてしまうと、そこからはもう第三次世界大戦の口火となる可能性も出てしまうわけで、どちらにとっても悩ましい。ただ、NATO非加盟のウクライナへ核使用とはいえ、隣接するNATOとしては流石にそれを見逃せないだろうし、アメリカにしても今よりも積極的に介入する切掛になるかもしれない。それはロシアに取っては最悪なシナリオのはずで、そうなると通常兵器での大規模攻勢で、自分達も大きな損耗をしつつもそれ以上の損耗をウクライナに生じさせて、少なくとも現在の占領地を維持したままで停戦に持ち込むのが、ロシアにとって最大の落とし所なのかなと。
ウクライナとしては、戦争当初は今回新たに占領された地域を取り戻せば、2014年に進入されたドンバス地域やクリミアに関しては仕方ないという気持ちもあったのかもしれない。ただ、ここまで戦争が長引き、かつ一方的に多数の民間人への被害も出ている状態では、侵攻以前の状態に戻るだけでは自分達はマイナスですから、犠牲者に見合うだけの戦果も必要になるでしょうね。そう言う意味では、ドンバス地域は背後にロシア領があるから、物量的になかなか厳しい場所だと思うけれど、クリミアに関しては半島の入口二箇所を占拠できれば孤立化させて奪還することも可能な気がする。以前クリミア大橋を攻撃して一時通行不能にしたけれど、こちらはミサイル等で橋を破壊できれば閉鎖できるから、クリミア半島の内側から侵攻して北側の接続部分を閉じれば、逆に新規に侵攻された南側の領域に対しての援護も出来るようになるだろうし。ただ、そのための犠牲はどちらにとっても大きなものになることだけは確実ですが。1年前は、ロシアのキーウ電撃侵攻が失敗し、ウクライナの東側から物量で攻め込む作戦が始まった頃ですが、今度はウクライナ側が西側の豊富な武器を手にして、集中突破してロシアの侵攻を分断するのだろうか。平和を望むし戦争を肯定するつもりは無いけれど、ロシア側の言い分に一分の正義も感じられないこの戦いに関しては、ウクライナが勝利するしか解決策は無いと思うし、その為の犠牲が出来るだけ少ない事を祈るだけです。誰の仕業か分からないけれど、クレムリン襲撃という象徴的な事象が、もしかしたら大きなターニングポイントになるかも。
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