2023年5月10日

AIとアメフト

スポーツへのAI導入というのは結構色々試みられていて、そう言う事に多分一番熱心なNFLもかなり研究しているんだろうけど、フットボールへの導入というのは結構難しい話だと思うんですよね。そんな中で、フットボールの強豪校の一つでもあるBYUでの試みの紹介記事。 

フットボールで何が難しいかというと、

  1. 50~60名位の選手が、プレー毎に入れ替わる(フィールド上は1チーム11名)ので、キーとなる選手を見つけるのが難しい
  2. プレーの種類が100~200種類(もっと?)あり、それがさらにディフェンスの隊形に寄って幾つかのバリエーションを生んだりする
  3. オプションのように、その瞬間の状況でプレーが分岐していくものあり、分類する種類がどんどん増えていく
  4. さらには、計画通りのプレーが崩れて成功するプレーもあり、その扱いをどうするかにもよる
等等、要するに対象となるパターンが多分他のスポーツ分析と比べて格段に多いことだと思います。しかも、例えば野球ならば年間140~160試合もあるのでそれなりにデータ収集をして、リーグ戦の情報をプレーオフに行かすなんて言うことが可能何でしょうけど、フットボールの場合は年間10~20試合程度しか無い訳で、サンプル数が少なすぎるんですよね。また、多くのチームは毎年ゲームプランを作り直すし、コーチ会議などではそのシーズン自分が作ったプランやプレーに関して、他チームのコーチに公開することで実力の均衡とスキル向上を目指しているので、前提条件が毎年変わってしまう難しさも。だから、データの蓄積もままならない。

じゃぁフットボールへのAI導入は無理なのかと言えば、実はフットボールほど記録というかデータ重視のスポーツも無いと思うので、まずは最近のLLM型AIにどんどんデータを食わせて学習させて、そこから何が生まれるか見てみるのが一番良いんじゃ無いだろうか。そう言うと身も蓋もないのだけれど(笑)。個人的に思うのは、相手チーム、ライバルチームのゲームプラン分析というよりは、同じフォーメーション、同じプレーデザインなのに、チームよって特色が生まれてくるだろうから、そう言うものを分析してみたら面白いんじゃ無いかと思うんですよね。そう言う意味で、上から俯瞰して全体を見てみるというのが一番良いと思う。実際最近では練習中でもドローンを導入して上からの映像で、プレーの理解度や精度をレビューしたりしますが、以前のように高所から撮影したものよりも格段に情報量は多くなるんですよね。フォーメーションやプレーの流れを一つの「絵」みたいな感じでAIが認識して、そこからより効率的な「絵」にしたり、アクセントを加えた「絵」にしたりとすることで、何か革命が生まれるんじゃ無いだろうか。

最近のLLMで、AI導入の閾値はグッと下がったと思うけれど、やはりまだそれなりに知識と技術が無いと導入は難しい。そう言う意味では、この記事はBYUだったけれど、国内の大学で理系学部が強いところなんかは、学生の研究も兼ねてどこかでやってないのかなぁ。フットボールつて、予め定められたゲームプランで対戦しつつ、相手の出方を見てどれだけアジャストしつつ勝利するか(=最適化するか)というゲームだと思うんですが、それってそのまま社会システムの最適みたいなものにも繋がりそうな気がする。東京大学とか京都大学とか東工大とか筑波大とか、結構フットボールも強い学校がやらないだろうか。

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