2023年4月17日

テロを誘引する報道

岸田総理に対しての襲撃事件。容疑者が運転免許証を所持していたと言う事で、事件後直ぐにその氏名や居住地が報道された事も有り、その日の午後には生い立ちだとか生活環境の様子とか、詳しい報道がどんどん出てきています。昨日の夜の某ニュースショーでは、多分同級生から入手したであろう、小学校や中学校の卒業アルバムの写真が公開されたり、小学生の卒業文集の内容も放送されていたけれど、あれって本人の許諾を得ずに公開して良い物なのか、いつも同様の報道で疑問に感じます。確かに、今回の容疑者は逮捕されてはいるけれど、まだ裁判すら始まっていない以上は「無罪推定」として扱わなければいけないはずですよね。勿論、実行犯に対しての怒りというか憤りは感じるけれど、それとは別の話だと思う。

昼間観たニュースショーでは、容疑者の自宅周辺での取材を構成して放送していたけれど、そこには何か家庭不和とか犯行に繋がる要因を「作りだそう」みたいな意図が見え隠れしていて、かなり不信感を感じる内容でした。家族構成は、ご両親に姉兄二人がいるとのことだけれど、まぁ残された家族としては針のむしろだろうし、報道を見た無責任な人間が現地に行って騒ぐみたいな事も発生するんじゃないだろうか。場所や自宅の外観まで放送されているから、もう特定されたも同然で、この手のネタで動画作成をして再生数を稼ぐような、所謂「迷惑系YouTuber」にとっては、格好の燃料投下したような形でしょうね。

もっと呆れたのは、夜の某ニュースショーでの話。小学校の卒業写真集から本人の写真を写して「12年前はこんなににこやかに...」みたいなナレーションを被せたと思ったら、今度は中学校の卒業写真集の写真を写すと「中学校時代には厳しい表情に変わり、この間に何があったのでしょうか」みたいなストーリーを作り始めている。そこに、以前の事件のように宗教に肩入れしている両親がいたら、彼らはまた同じように宗教批判を展開するのだろうか。あるいは、貧困問題とか虐待とかあったら、彼の行為を擁護しようとするのだろうか。それらは、これから裁判の場で明らかにされるべき事で、情状酌量の余地が有るのであれば、判決の中で塩梅されるもの。それを、裁判すら始まっていないこの時期にメディアの勝手な憶測で取り上げて、自分達の好きなような筋立てで報道することは、ある意味「捏造」に近い行為だと思う。

事件直前直後の映像がさまざまな角度から放送されていて改めて気がついたけれど、爆発物が投げ入れられてSPが反応しているのに、回りの人垣は全く動かないというか、逆に後ろで発生した犯人確保の場所にスマホ片手に押し寄せているんですよね。本当ならば、蜘蛛の子を散らすように直ぐさま四散して危険回避をしなきゃいけないのに、そういう知識が無いから単なる野次馬化している。51秒後に最初の爆発が発生して、やっと危険を認識して外に逃げる様子が見られるけれど、余りに遅いですよね。日本では、例えば地震が発生したら机の下に隠れるという訓練は学校でよくやっているけれど、咄嗟の時にはまずは地面に伏せる、頭部を手や鞄で隠して守る、直ぐさま外に向かって逃げるか、遮蔽物の陰に隠れる、という基本的な行動を、これからは地震の時の避難訓練の一部としてやるくらい必要かも。それとともに警備側としても、最初の爆発物を直ぐさまSPが蹴り出して総理を防御した行動は良かったけれど、その蹴り出した爆発物は目の前の聴衆の方向に蹴り出されているんですよね。総理の周りを取り囲むように聴衆がいたから仕方ないけれど、爆発まで時間が有り、かつ全体が後方に移動していたから被害者は無かったけれど、あの爆発で死傷者が出たら出たで今度はSPや警備が批判されることになるかも。そう言う意味では、総理等の居る場所と、聴衆の間にバッファーゾーンを設けて、例えば蹴り出すにしても、そのバッファーゾーン沿いに横に蹴りしだして、出来れば海の中に落とすくらいにしないと、もし破壊力のある爆発物だったら、もっと被害が大きかったと思う。そう言う意味では、今回は前回の事件を参考に警備体制も強化しただろうけど、今回の経験値を取り入れて更に改善が必要だと思いますね。まぁ、何よりも、メディアがもっと責任を感じることが第一だろうけど。

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