日本でも色々な形で取り上げられているChatGPTに代表されている対話型AIの、中国での状況を説明する記事。社会制度等の違いもあり、なかなか内情を知ることが難しい中国の状況の中でも、国家戦略とも繋がる技術だけにその内容はよく分からない。記事にも書かれているように、中国の有力企業は以前から開発を進めていて、それが現在のChatGPTの成功を見て再加速することは容易に想像出来ます。さらに最初のページに書かれているように、社会実装に関しては中国が先行するということも納得が行く話で、それは例えばQRコード決済だったり、市中監視カメラの活用だったり、良くも悪くも中国という一つの世界が特殊な故に成功している事例があるから。
私も、中国のエンジニアや会社との協業は30年位前からやっていて、彼らの良いところも悪いところもそれなりに理解しているつもりですが、ある意味脅威というか彼らの強みは、「凄いヤツはとことん凄い」という事。しかも、それが突然一人二人現れるのでは無く、厳しい競争社会もあって幾らでも生まれてくる事なんですよね。人口が日本の10倍だから、単純計算でも日本の10倍の人材が居るわけだけれど、そこに厳しい競争社会があるために、更に多くの人材が居てその中でまた揉まれてさらに能力のある人が輩出されている世界なんですよね。それが良いか悪いか、あるいは日本の風土というか日本人の感覚に合うのかどうかは別問題だと思うけれど、そういう状況がずっと加速していたのが中国の特に産業界だったと思います。
勿論、そういう条件以外にも、国策として色々な支援が国から入っていたことも事実だと思うし、逆にそれがあるから気に入らないと即座に取り潰しみたいな事にもなるリスクはあるんだけれど、一気に資本や技術が投入されて世界的な企業になってしまえば、ビジネスに関してはその後は有る程度安定して継続出来るし、世界的な企業として存在感が確立出来れば、有る程度国からの影響も減ずることが可能になるだろうし。そこまでの存在になれば、中国外からの提携とか導入も出来るようになるだろうし、実際EVに関してはそういう状況になっているんじゃ無いだろうか。それに自分の経験から言えば、スタート時点では雨後の竹の子のように乱立するけれど、その後淘汰が始まると一気に企業や技術が収斂して、本当に力のある企業だけが残るので、かえって恐い存在が生まれる気がするんですよね。日本だと今だに中国と言うと下に見る風潮を感じる時がありますが、とてもそんな状況では無い。日本には絶対無いような厳しい競走を勝ち抜いた、非常にしぶとい企業だけが残っている危機感をもっと持った方が良いと思う。
人口では、今年インドが中国を抜いて最多人口国になるらしいけれど、それでも国内だけで14億人のユーザーがいる市場は、ちょっとしたベンチマークをするだけでも十分な見返りがあるでしょうね。貧富の差もあるから、14億人全部が対象とは言えないだろうけど、それでも10億人規模のマーケットがあると思えば、中国国内だけで同様の技術のその他世界全体の規模に匹敵するんじゃ無いだろうか。そうすると、今はやや後れを取っている対話型AIの成長も、ライバルよりも早いんじゃ無いだろうか。特に、ChatGPTだと異なる環境でいろいろと複雑な学習効果を得られるメリットは有るけれど、情報量では分散して非効率と思われます。一方中国では、同質な環境で一気に情報獲得出来るから、学習効果という意味では限定された範囲ではあるけれどかなり加速できそうな気がします。そういう恐怖感というか危機感を、この記事を読んで改めて感じますね。
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