数年前に「開発の一旦停止」を発表していた三菱重工業が、MSJ(Mitsubishi SpaceJet=MRJ: Mitsubishi Regional Jet)の開発中止を正式発表。飛行機好きの一人として、過去何度もこのMRJ関係の話題をここに書き込んできたんですが、本当に残念。何度も開発遅延を繰り返しながらも、アメリカで耐空証明取得のための試験飛行が始まった時には期待したんですけどねぇ。コロナ禍による経済下落も影響したかなぁ... 本当に残念。
開発を続けて今後実際に事業化するにしても、その時点では競争力が見込めないという確かに現実な訳で、確か最初のプランでは量産初号機は2013年に搭乗するはずだったはずで、流石に10年近くも遅延したら当時の最先端のプランも陳腐化するでしょうね。複合材などを多用して軽量化した機体と、効率化して省エネ化されたエンジンとの組合せが売り物だったけれど、相次ぐ遅延でそのエンジンはライバルメーカーも採用して競争力を失い、軽量化する予定の機体はなかなか仕様が確定せずに作り直しをして遅延。何らかの形で今回の反省はそのうち公開されるのかもしれないけれど。
YS-11以来40年振りの国産機開発という事で、凄く注目を集めて勝つ期待も大きかったけれど、それに伴う必要なリソースを過小評価して失敗したんだろうか。今の航空業界は、ボーイングとエアバスの大手二社が事実上航空機製造の中心で、MSJクラスの小型機では、ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアが鎬を削っていて、MSJのような新規参入社にはかなり敷居は高かったことも事実だけれど。一応三菱重工業は、ボンバルディアのCRJ関係の保守販売事業を買収しているので、もしかしたら将来的にはボンバルディアの航空機部門から再び旅客機開発製造の道も生まれるのかもしれないけれど、でも今回の件はトラウマになるだろうし、MRJスタート時以上に壁は厚く高いだろうなぁ。
三菱重工業としては、今回の経験は戦闘機開発等に生かすと言う話らしいけれど、素人ながらかなり無理のある言い訳のように響きます。勿論、折角蓄積した経験値や知見をそのまま雲散霧消させるのでは無く、次に生かしてこそ意味があるのはどんな開発活動でも同じ。ただ、有る程度のコスト高が認められている軍用機と、経済性が優先されながらも信頼性や安全性は最優先される民間機の世界では、設計思想や規則に関しては、全く異なる世界が広がっているんでしょうね。そう言う意味で、まだ世界的には認められていないけれど、中国の航空機メーカーが自社開発している・出来る能力は凄いと思う。一つは、大手航空会社のメンテナンス事情等、人材の低コストを武器に取り込んで経験や知見を蓄積していることと、言い方は悪いけれど幾らでも失敗をして改善していける体制があるからだろうなぁ。冗談で無く、10年もしたら中国製の航空機が中国以外の空を飛ぶ時代が来そうな気がする。それを考えると、MSJの中止は本当に残念。昔は「大三菱」とか言って、それこそ今のトヨタみたいな存在感があった企業なのだから、何とか復活してほしいなぁ。
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