2023年2月21日

バイデン大統領、キーウ訪問

バイデンアメリカ大統領の電撃的なウクライナ・キーウ訪問。各国首脳の訪問の中でも、最大限に重要且つ大きな意味を持つ訪問である事は疑いない。そんな大きな出来事なのに、各種報道では直前までその訪問は明らかにされておらず、文字通り「電撃訪問」となった事。数時間前には、ロシアにもその旨伝えて万一の場合に備えたらしいけれど、ゼレンスキー大統領とバイデン大統領がキーウの街中で並んでいる映像にも、空襲警報の音が入っている訳で、ロシアとしてはキーウ直撃はしなかっただろうけど、それなりに恣意的行動はして不満を伝えたのだろうか。

日本では、岸田総理のキーウ訪問を言われつつも、色々な理由からG7首脳の中では唯一訪問していないのかな。いつもは「G7の中で日本だけ」という論調をする人達も、岸田氏の訪問に関しては「G7で唯一日本だけしていない」のに何も言わない不思議はあるのだけれど(笑)、実際問題国会開催中の首相の動向は逐一把握されている必要があるらしいし、ましてや海外訪問となると議会の承認も必要になるらしく、そうなるととても今回の様な電撃訪問や隠密行動は出来ず、リスクだけが大きくなるんでしょうね。さらには、通常ならばその国の軍隊が護衛などで同行するのに、日本の自衛隊は今の法律ではそれは出来ないとか、ある意味「平和ボケ」してきた綻びがここに来て露呈している気がします。事前承認については、衆参両議長の予め伝えて了解を得れば、事後承認でも可能とかにしても良いと思うのだけれど。考えてみたら、小泉訪朝の時なんて凄い騒ぎになりましたからね。北朝鮮まで飛ぶ自衛隊機(政府専用機)が、事前の空路や空港状況を調べるために飛ぶだけで凄いニュースになったし。そもそも、内閣総理大臣は自衛隊の最高責任者のはずだけれど、その最高責任者を防御する事が出来ないのは矛盾ではないだろうか。

岸田総理本人は無理としても、それなりの人物の派遣はあってもいいと思うんですよね。順当な順番で行けば林外務大臣なんだろうけど、ちょっとインパクトが弱い気も。多分安倍晋三氏が存命であったなら、安倍さんが政府特使としてキーウを訪問すれば、正直なところ岸田総理訪問以上の影響力が生まれたような気がするなぁ。勿論、亡くならなければまだ国会議員を務めていただろうから、隠密に訪問というわけにはいかないだろうけど、逆に安倍さんの場合は事前に大々的に喧伝することで、更に訪問の意味が大きくなる気がする。あるいは、実弟の岸信夫氏は、前防衛大臣という事も有り議員辞職をしているので、一応「民間人」の立場。安倍氏の系列でかつ防衛大臣経験者という肩書きは、そこそこ効果的だと思う。ただし、体調の面で長距離の移動や現地での行動に不安があるから、こちらも実現するとしてもかなり難しいと思うけれど。

そう言う意味では、歴代の総理経験者は、議員を引退した後、政界を引退した後でも、こういう場面での活躍というか貢献を期待したいのだけれど、歴代総理をザッと見渡してみても、国際的に知名度があって引退後も影響力を期待出来る人は居ないなぁ。一人積極的に韓国に出向いている人が居るけれど、ああいうのは逆に止めて欲しい訳だし。いずれにしても、象徴的な訪問は難しいとなれば、実務的な関係強化を進めていくしかないんでしょうね。具体的には、遅まきながら大使館を再開したけれど、そこに人数を増員して常に日本の関係部門とリアルタイムでウクライナ側が話が出来るような環境を作るとか。その中で、トルコにも必要だろうけど、医療関係の機材とか人材支援とか、今の日本の法律の中で出来る事を進めて行くしか無い。少なくと、ウクライナは1年前の状態には戻さなくてはいけないし、ロシアに対しては力による改変にはリスクとコストが甚大で引き合わない事を理解させないといけない。で無いと、同じ事をやりそうな国が日本の周りにも幾つかあるわけですし。ウクライナもこの一年よく耐えてきたと思うけれど、そのために日本も自分達の決まり事に杓子定規に従うだけでなく、そういう所こそ世界標準を真似ても良いのでは、と思います。

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